先週の野球観戦の夜は、すっごく寒かったのですけれど、それでも、ようやく、暖房を入れなくてはいけないような寒さはなくなってきました。昼間の気温が、20℃近くまで上がるとはいっても、風が冷たくて、体感温度はもっとずっと低め。サンダルが履けない日もまだまだ多いので、未だにブーツをしまうことができなかったりします。遅めの八重桜も、先週ですっかり散ってしまい、今は、歩道の植え込みや公園の花壇には、色とりどりのチューリップが目立っています。自然の野草では、これまた、日本よりはずっと遅いタンポポの花がようやく終わったくらい。あちこちで、ポワポワした丸い綿毛がたくさん見られました。今週は、お天気がぐずつき気味らしく、ウィークデーはすっきり晴れる日がないみたいなので、また、サンダルでのお出かけはお預けです。 週末も、なんだかはっきりしない空模様だったので、雨が降っても大丈夫なところと、久しぶりにMetropolitan Museum of Artに出かけてきました。3月末に、大人気のうちに幕を閉じた「Leonardo da Vinci, MasterDraftsman」を並んで鑑賞した(詳細はこちらで)ので、そんなに久しぶりではないのですけれど、あのときは、行った時間が夜だったし、美術館にいた時間の大半を列にならんで過ごした!?ので、余裕をもって、ゆっくり訪れるのは久々の気がしました。イースターの連休が終わり、時期的にちょっと中途半端だったのか、週末にしては、思ったほどは、そんなに混雑していませんでした。 5月から、いくつか新しい展示が始まっていて、まず、最初に向かったのは、こちら。屋上で開催されている特別展「Roy Lichtenstain on the Roof」。コミックの一場面を描いたポップなアートなどで有名な、リキテンシュタインの大きな彫像6点を集めた展示です。この日も、空はかなり曇っていましたが、新緑がまぶしいCentral Parkを見下ろせる屋上には、多くの人が詰め掛けていて、ちょっとびっくりでした。右の写真の大きな家「House III」をはじめとして、どれも、リキテンシュタインの描く絵と全く同じイメージのはっきりした色使いの大きなオブジェで、曇り空の下でも、きっぱりした潔い存在感を示していました。 今回の作品は、いずれも、1990年代に作られたもので、特に、この家は、去年組み立てられたものなのだそうです。実際にご覧いただければわかるのですが、平面ではなくて、立体的に組み合わされた角度が、目の錯覚で、本当のところと逆に見えます。他の作品も、微妙にねじったり、角度を変えて組み立てられていたりするので、角度によって印象が変わるのも面白いところ。こういった細かい計算をしてあるところが、大きくても、精密できっちりした絵を描くリキテンシュタインの彫像らしいと思いました。この展示がある間は、屋上では、飲み物と簡単な食べ物を売るので、ベンチに座ったり、その辺に寄りかかったりして、ゆっくりすることもできます。ベンチの数は結構少ないので、若者は皆、地面にペタンと座っていました。さらに、今は、フジの花がちょうど見頃で、藤棚から伸びたツルに、花がたわわに下がっていて、なかなか壮観でした。 屋上へのアクセスは、専用のエレベーターのみで、1階の乗る場所は、正面ホールからまっすぐ中世美術のエリアに入り、教会の大きな柵の手前を左に折れ、彫像のたくさんある中庭を突っ切ったところになります。フロアプランに書いてありますので、事前に入手しておくと便利。美術館が遅くまで開いている金曜日と土曜日は、遅い時間まで上がれますが、他の日は、4:30で閉まってしまいますのでご注意を。「Roy Lichtenstain on the Roof」の展示期間は、11月2日迄です。 もうひとつ、5月に始まった特別展で、とても見たかったのが、地下のThe Costume Instituteで開催されている「Goddess」というもの。「Goddess(=女神)」という題名にふさわしく、神話の時代の女神をイメージしたような、ドレープを寄せたドレスや、神話のモチーフを使ったデザインの洋服が集めてあります。スポンサーがGucciで、この特別展のオープニングには、オスカー女優のNicole Kidmanはじめ、ハリウッドのスターたちも集まったということで話題になっていました。ちなみに、入口にあった、こちらのドレスは三宅 一生のもの。確かに、色は違うけれど、神話の女神っぽいドレスですよね。目を引いたのは、この前のAcademy Awards授賞式で、Jennifer Lopezが着ていたドレスのもとになったといわれている、Jaqcline Kennedyの薄いグリーンのドレス。やっぱり、あの色とデザインは、色が白くて、骨っぽいジャッキーの方がずっと似合いそう。J.Loの浅黒い肌と、健康的な体にまとうと、なんだか、たくましい自由の女神像みたいに見えたのは私だけ!? あとは、オープニングにも顔を見せたニコールが、数年前のオスカーで着ていた金色のドレスもありました。これも、ちょっと見ると、趣味の悪い金ピカ好きの女王様が着そうなドレスに見えてしまいますが、バツグンのスタイルと真っ白な肌のニコールだからこそ、品よく着こなすことができたのでしょうね、きっと。 こちらの特別展は、場所がちょっとわかりにくいからか、話題のわりには、混雑度はそうでもなくて、ゆっくり楽しむことができました。地下の展示室への入口は、正面ホールの右手にあるエジプト館の中ほど。近くには看板が出ているのでわかりやすいと思います。「Goddess」は、8月3日迄開催中。 そして、最後に、忘れちゃいけないのが、前回、ちゃんと見たので、今回は見ませんでしたが、2階の特別展示場で大規模に行われている「Manet / Velazquez : The French Taste for Spanish Painting」、これは必見です。こちらは、6月8日迄と、期間も残り少なくなってきましたので、まだの方、これから期間終了までにNew Yorkにいらっしゃる方は、ぜひ、ご覧くださいね。 ↑先頭に戻る
ゴールデンウィークの最終日、5月5日は子供の日ですが、同じ5月5日、New Yorkでは、メキシコ系の人々が祝う「Cinco de Mayo」の方が幅を利かせています。「シンコ・デ・マヨ」というちょっとかわいい語音!?は、聞いたことがあって、スペイン語っぽいので、なにか、ヒスパニックの人たちに関係あるものだろうとは思っていたのですが、なんのことだかわかったのは、つい最近でした。スペイン語で、「Cinco」は「5」、「Mayo」は「5月」、つまり、「Cinco de Mayo」は、そのものズバリ、「5月5日」という意味だったのです。具体的には、メキシコが対フランスの戦争に勝利したことを記念した祝日で、独立記念日みたいなものだとニュースではいっていました。New York近郊に、中南米からの移民はとても多いものの、メキシコに限ってしまうと、西海岸よりはずっと少なさそうですが、それでも、当日は、Times Squareで、大きなソンブレロをかぶり、マリアッチ(メキシコのギター)をかき鳴らすパフォーマンスが行われていました。わが家の近くも、ヒスパニックの人が多いので、新聞広告に「Cinco de Mayoを祝おう!」というレストランの広告が入っていたりしました。で、ふと思ったのは、先日、五番街であったEaster Parade(パレードの詳細は、こちらでご覧ください。)に、日焼けしたバービー人形みたいなのやたくさんの花を乗せた帽子のメキシコの人々が何人もいたこと。これって、きっと、日にちの近いCinco de Mayoのお祝いをアピールしていたに違いない!とひそかに思ってしまいました。(違うかもしれませんけどね・・・) メキシカンに比べると、はるかにマイナーで、日本人以外誰も知らないと思われる子供の日ではありますが、私たち海外で暮らす日本人にとっては、日本の行事を思い出させてくれる貴重な祝日。五番街の和菓子屋さん源吉兆庵には、いつものように、立派な兜飾りと、こいのぼりが飾られていましたし、日系スーパーマーケットMitsuwa Marketplaceの駐車場には、こいのぼりがはためいていました。そういえば、多分、日本からいらした方だと思いますが、「松井 V.S. イチロー」で注目された、New York Yankeesの試合でも、前方で小さなこいのぼりが打ち振られているのを見かけましたっけ。 わが家には、子供はいませんが、ひなまつりのときは、個人的趣味で、たいてい「ちらしずし」と「桜餅」なので、今回も、定番「柏餅」に、ちょっと奮発して「刺身盛り合わせ」を、いつもの夕食に追加してみました。柏餅は、上記の源吉兆庵で、お刺身は、Mitsuwa Market Placeで、こんな盛り合わせまで手に入ってしまうのですけれど、この盛りで20ドル弱だから、やっぱり高価。外の日本食屋さんで食べるのとあんまり変わらない?気もするので、家で刺身を食べることはあんまりありません。しかも、こんな日本で売っているのとほとんど変わらないような刺身を売っているお店は、とっても限られており、やっぱり、「お刺身が食べたい!」と思ったら、外食してしまう方がずっとラクなのでした。 ↑先頭に戻る
日本の皆さんは、ゴールデンウィークをいかがお過ごしでしたか?こちらは、もちろん、暦通りなので、普通の週末でしたが、遅ればせながら、そろそろ春らしいうららかな陽気になり、外歩きにちょうどよい、気持ちのよい週末になりました。先週末、ちょっと早めだった八重桜も、この陽気で一気に開いて、この週末が最後の見頃でした。教えてもらったBattery Parkへと足を伸ばしてみたら(Kiyomiさん、ありがとうございました!)、9/11の記念碑である「Sphere」の銅像のある辺りに、立派な桜並木があり、ずっしりとボリュームのある花を咲かせていました。Ground Zeroが、もうほとんどそう呼ばれなくなりつつあるように、すっかり片付いて、ただの建設現場のようになってしまっている今、World Trade Centerの中央にあり、かろうじて崩壊をまぬがれた、この傷だらけの銅像は、ある意味では、あの事故の凄さを物語る数少ない「生き証人」なのかもしれません。すぐ前のベンチに座って、ぼーっとサクラを見ていたら、満開の八重桜とボコボコになった金属のコントラストに、ふと、人間は巨大なビルを作ったりするけれど、それをまた、自分たちで破壊してしまったりしているわけで、季節ごとにこんなに見事な花を咲かせる自然の雄大さと比べると、なんだか、とてもちっぽけで愚かしい存在に思えてしまったりしたのでした。 で、実は、週末のメイン行動は、お花見ではなくて、「アート」でした。最初は、今週末で、大々的な改装工事のため、しばらく閉館してしまう、ミッドタウンのThe Morgan Libraryへ。Manhattanに住んでいたころ、ここは歩いていける場所で、前はしょっちゅう通っていましたが、ドローイングのような小作品や、蔵書が主なコレクションということだったので、今まで訪れたことがないまま過ぎてしまっていました。ところが、今週末を逃すと2006年までクローズとニュースで聞き、急いで出かけた次第です。 既に、施設の一部は改装工事の準備で閉鎖されていて、今、開催している展示は、パンフレットの表紙のトカゲなどの動物や、花や果物などの植物を描いた絵や本を集めた「Picturing Natural History」というものだけでした。教会を中心に発達した、昔のヨーロッパの美術の例に洩れず、この展示でも、12世紀とか13世紀くらいの古い書物は、皆、キリスト教の教えなどとともに、動物の絵が描いてあったり、食べ物として育てている植物の絵が描いてあったりしました。個人的に、とっても気に入ったのは、もっと後の時代、17世紀から19世紀くらいの、とても精密に描かれた、図鑑用?の花々で、今だったら、写真で簡単に表せてしまうものを、細部まで精密に鮮やかな色使いで描いたものは、植物の研究者だけが見るのにはもったいないような美しさでした。 さらに、ここの美術館を訪れたかったわけがもうひとつあって、それは、中庭のようになっているカフェ、Morgan Court Cafeでいただくアフターヌーン・ティーでした。天井がガラス張りになっていて、木々が植わり、壁にはツタが繁っているという、本当の中庭みたいな明るいカフェは、ゆっくりするには最適の場所。入場料を払わないと利用できないので、客層も落ち着いた大人が多くて、静かでいい感じです。アフターヌーン・ティー自体は、ケーキがちょっと甘すぎた!?ので、とっても美味しかったというわけでもありませんでしたが、この雰囲気は、それを補って余りあるものがありました。もうちょっと早く知っていたら、たびたび来たのに・・・とちょっと残念に思ってしまったくらいです。The Morgan Libraryの再開は、2006年の予定、それまでは、コレクションの一部が、Metropolitan Museum of Artで見ることができるそうです。もちろん、カフェは、それまでお休みになります。 ゆっくりした後向かったのは、普段はほとんど行かないChelseaのギャラリー街。だいぶ前に、友だちと来たり、モダン・アートの講座で講師と一緒に回ったりしたことはありますが、10th Avenueより西という、Chelseaの中でもかなり西のはずれに近いことから、よっぽどの目的がないとなかなか足が向かないところなのでした。 でも、今回は、もちろん、ちゃんと目的があったのです。それは、こちら。日本の皆さんも大好きな方が多いと思いますが、売り切れ続出!という、Louis Vuittonの最新デザインを手がけた村上 隆さんの作品、しかも、そのヴィトンのモノグラム関連のものばかりを集めた「SUPERFLAT MONOGRAM NEW YORK」という特別展でした。開催場所のMarianne Boesky Galleryは、ビルの2階にあり、エレベーターを使わなくてはいけなくて、ちょっとわかりにくかったのですけれど、上がってみたら、大盛況でびっくりでした。もともと、村上さんは、New Yorkで活動しているので、以前も大きなインストレーションをGrand Central Terminalの構内で行ったりしているし(このときの様子は、こちらでご紹介しています。)、旅行で行ったBoston Museum of Fine Artsで大きな作品を見かけたりと、注目の日本人アーティストではありましたけれど、今回のヴィトンの起用で、なんか一気に大ブレイクした感じですね。いろいろな色のパターンのモノグラムのパネルや、掛け軸風に仕立てたもの、作成中だった大きなパンダの絵など、まさに、ギャラリーいっぱいに村上ワールドが展開されていました。その究極だったのは、いちばん奥の展示室で、巨大なパンダの像があり、壁のスクリーンでは、ヴィトンの店頭で映されているアニメーションが上映されていました。私も、このアニメをBloomingdale'sの中に入っているヴィトンで見たことがありましたが、買い物するわけでもないのに、長居はできず、ちゃんと最初から最後まで見たのは初めてでした。 それにしても、ヴィトン人気はすごいものなのですね。中でも日本での人気は、やっぱり世界一!らしいのですが、New Yorkでの人気もなかなか捨てたものではなく、ヴィトン好きの友だちが、この前New Yorkに来たとき、その村上パターンの新作を見せてもらおうとしたら、New Yorkの直営店にも置いてなかったのだそうです。基本的には予約で完売らしく、彼女は、小物がちょっとしかなかった!と嘆いていました。五番街の57th Streetとの角という、超一等地にもビルを建設中だし、日本みたいに、誰もがヴィトンを持っているわけではありませんが、ここ、New Yorkでも、やっぱり、ヴィトン・マニアみたいな人は結構存在するようです。かくいう私も、OL時代に海外旅行で買った昔のヴィトンを持っていますが、値段が高騰するにつれ、さすがにそれを追いかける気力も資金力もなく、噂の村上ヴィトンは、未だに、この巨大なポスターの写真と、チャイナタウンでのニセモノしか見たことがありません・・・ 「SUPERFLAT MONOGRAM NEW YORK」は、5月10日まで開催中。詳細は、ギャラリーのHP http://www.marianneboeskygallery.comでご覧ください。こちらから、作品の一部も見ることができます。 ↑先頭に戻る