WHAT'S UP ? in New York
![]() | May, 2003 | ![]() |
夏を告げるMemorial Dayの連休のはずなのに、3日とも雨雲に覆われていた上に気温が上がらず、お天気的には夏どころか、春先にしても涼しすぎるといった具合。しょうがないので、基本的には屋内のアクティビティを中心にせざるを得ませんでしたが、その中でもちょっとマシな天気だった日曜日に、ドライブで、今、New Yorkでいちばん話題の美術館へと出かけてきました。新緑の中のドライブ・・・なのですけれど、すっきりしない曇り空の下では、緑の鮮やかさも今ひとつ。でも、この日がいちばん天気がよいという予報だったからか、午前中というのに、郊外へのハイウェイはなかなか混み合っていました。| Dia: Beacon 3 Beekman Street Beacon New York 12508 Tel. 845-440-0100 4月15日〜10月14日 Turs-Mon 11am-6pm 10月15日〜4月14日 Fri-Mon 11am-4pm ※平日は休館日が多いのでご注意ください。 入場料 大人$10, 学生・シニア $7, 12歳以下の子どもは無料 http://www.diabeacon.org |

こちらでは、月曜日のMemorial Dayがお休みで3連休中。いつも、この連休が夏の始まりとされていて、New York近郊でもビーチ開きが行われます。なのに・・・相変わらずの曇り空に気温が上がらず、ビーチどころではありません。Fleet WeekのためにNew Yorkを訪れている水兵さんたちも、白いセーラー服や肩章付きのユニフォームの上にトレンチコートなどを着ていました。
本来の目的は、Madison Avenueのオフィスビルの1Fにあるパブリックスペースに忽然と出没した、こちらの不思議な宇宙船!?を見に行くこと。これは、New York CityのPublic Art Fundによってインストールされたアートのひとつで、作者は、数年前に開催された、Brooklyn Museum of Artでの個展が好評で、New Yorkではすっかりおなじみになった日本人アーティスト森 万里子女史。題名は『Wave UFO』というのですから、この銀色に輝く流線型の物体は、やっぱり宇宙飛行船のイメージみたいです。でも、このアートのポイントは、「体験型」であること。このUFOの中に入ってなにかを体験しないと、きちんと鑑賞したことにならないのです。宇宙船の脇で白装束(!?)を着た数人の人たちが、その体験を手伝ってくれるらしく、そのための順番待ちの列が出来ていました。7分間の体験を、一度に3人ずつができるため、ざっと並んでいる人数を数えたら、かれこれ30分以上はかかりそうでしたが、休日だから混雑はしょうがないだろうし、私たちの後ろにも人がどんどん並ぶので、横にあるスタンドでコーヒーを買い、辛抱強く待っていました。
順番が近づいて来ると、宇宙船に入る前の奇妙な準備の様子が見えるようになってきました。まず、白装束の人が体験者の額の部分をさっと拭き、そこに細いチューブがくっついたパッチみたいなものを貼ります。さらに、垂れたチューブの一部を首筋あたりにも固定している模様。皆、なにをされるかがよくわからないので、神妙な面持ちでこの一連の準備作業をされていますが、出来上がった姿は、例えは悪いのですけれど、かつて、オウム真理教の信者の人たちがしていたヘッドギアに似ている気がしなくもありません・・・白装束にヘッドギア・・・ちょっと宗教がかった感じがまたミステリアス・・・かな。
さらに、裏に吸盤みたいなものが着いた白いソックスを渡され、靴を脱いでそれに履き替えると準備完了。前の体験者たちが宇宙船から出てくると、入れ代わりにステップを上がって、未知の宇宙船の中に入っていきます。このおじさんみたいに、待っているおばさんに手を振る余裕のある人はほとんどいなくて、たいていは、その前の男の子たちみたいに、黙ってスタッフが手招きする宇宙船の中へと静かに入っていきます。
お天気がよければ、この後、街をフラフラしても楽しそうなものの、あいにくの雨空で、しかもちょっと寒い。ということで、引き続き、この不思議な体験型アートについての記事が出ていたYomiuri Americaに併せて紹介されていた、森 万里子さんの関連展示を見に、SOHOのギャラリーまで地下鉄で向かうことにしました。住所しかわからなかったので、SOHOの真中あたりで目指す通りを見つけ、住所を追っていったら、かなり南に行ってしまい、ほとんど、中華街との境に近いところに、そのギャラリーDeitch Projectsはありました。いわゆる、SOHOのギャラリー街にしては、ちょっとはずれている感じなのですが、結構、人がひっきりなしに訪れるのは、多分、彼女の展示の評判がよいからでしょう。
入ってすぐのところに『Wave UFO』のミニチュアモデルみたいなものも展示してありますが、こちらのメインは『Oneness』という展示。今度は、かわいい宇宙人が6人、手をつないで輪になって立っています。そして、こちらもまさに「体験型」。やわらかい半透明の樹脂で出来た宇宙人1体1体には、心臓みたいな機械が埋め込まれていて、宇宙人を触ったり抱きしめたりすると、その心臓がドクドクと鼓動する音が聞こえるのです!どのタイミングかではよくわかりませんが、目が光ったりもするので、さしづめ、宇宙人とコミュニケートしているような雰囲気になるのが面白いところ。事前に、新聞の記事で、触ってもいい展示だと知っていたので、靴を脱いで像の土台のところに上がって触ったりしていたら、他のお客さんも、「あら、面白そう!」と次々に宇宙人クンたちを触ったり、鼓動を聞いたりして楽しんでいました。ちなみに、この作品のお値段は、1体が$25,000で、6体セットでも割引なしの$150,000だそうです。さて、高値なのか、お買い得なのか・・・?『Oneness』は、6月28日迄の展示です。| Wave UFO IBM Building Public Space 〜7月31日 590 Madison Avenue (at 56th Street) Tues 10am-8pm, Wed-Sat 11am-7pm Sun 11am-5pm ※但し、見るだけなら10pmまで可能 http://www.publicartfund.org | Oneness Deitch Project 〜6月28日 18 Wooster Street (bet.Grant & Canal Sts.) Tues-Sat 12pm-6pm Tel.212-343-7300 |
New Yorkでは、来週月曜日のMemorial Dayに向けて、今日から、Fleet Weekなるイベントが始まりました。Fleet(=艦隊)というだけあって、このイベントは海軍主導で行われていて、軍艦の内部を見せてくれるツアーがあったり、Hudson Riverを軍艦が連なって航行するパレードがあったりします。このイベントのために、全米各地から海軍の皆さんが集まってくるため、ただ今、Manhattanには、大量の水兵さんが出没しています。寄港地が西側だからだと思いますが、特に、Times Square辺りはすごーくたくさんいて、それぞれ観光にいそしんでいました。Hudson Riverでのパレードは、川べりにあるわが家が、いちばんの鑑賞ポイントなのですけれど、今週はずっと天気が悪いため、こんな感じになってしまいました。そもそも、軍艦は、ただでさえグレーとかの目立たない色をしているため、霧雨の中ではかろうじてその影がわかるくらい。今回は、イラク戦争や各地でのテロ防止活動のため、いつもより参加している船が少ないのだそうです。また、参加している中には、戦争から帰還したばかりの戦艦もあるそうで、なんだか、ちょっと生々しい・・・もともと、このイベントは軍国主義みたいであんまり好きではなかったのですが、今年はさらにその度合いが強いような感じがします。
さて、というわけで、連日悪天候続きで、写真が全然撮れていないため、先週末出かけたイベントの話題をご紹介します。今、日本でも公演中のCirque du Soleilが、また、New York近郊への公演にやってきました!Las Vegasで「O」を観て以来(Las Vegasでのショーについてはこちらで)、彼らの人間離れした技と芸術性あふれる舞台にすっかり魅了されてしまい、近郊で公演があれば出かけています。といっても、ちょうど2年前の「Dralion」(そのときの様子はこちらで)に続いてまだ2回目なのですけれど、今回は、Manhattanの北東、East Riverに浮かぶRandall's Islandという島で行われている、「Varekai」という公演を観に出かけてきました。
島といっても、New York Cityの一部なので、公共のバスでも行けることは行けたのですが、せっかくなので、臨時にManhattanのUpper East Sideから出ていたNY Waterwayのフェリーに乗って行くことにしました。船着場は、90th Streetの東端、公演の時間に併せて航行していて、川辺への行き方がよくわからなくて、右往左往していたら時間ギリギリになってしまいましたが、船がかなり遅れたので余裕で間に合いました。この日は、ちょうどお天気がよかったので、フェリーで行く人がとても多く、狭い船着場に人があふれていました。往復で$10はちょっと高いけれど、気持ちよかったし、交通渋滞の心配もないから、やっぱり、ベストな交通手段だったとは思います。船はここからさらに北へとEast Riverを進み、ちょうど、対岸にHarlemが見えるくらいの川辺に停泊しました。
船着場からも見えていた黄色と青のテントが公演場所。会場に入る前に、手前の駐車場からテントと看板の写真を撮っていたら、ここでちょっとしたトラブルがあって、それを見ていた黒人の警備員に「そのカメラを持ったままでは中に入れない!」と止められてしまいました。だって、私の目の前で、カメラは小さかったけれど、フラッシュを使って看板の写真を撮ったおじさんはOKで、なんで私だけ!?という感じでしたけれど、どうも、わざわざ遠ざかって写真を撮ったところが気に入らなかったらしいです。で、すったもんだの挙句、結局、デジカメをクロークに預けることですんなり入れました。最初からそういってくれれば、素直に預けたものを、「君たちはチケットに書いてあるルールを読んでないのかね?」みたいに喧嘩腰に言うから、チケットを裏返して見たら、なんのことない「公演の写真・ビデオその他の記録装置の使用を禁止する」という一般的な注意が書いてあっただけでした。入口の持ち物検査で、「カメラは使わないでね。」といわれることはよくあるけれど、取り上げられることなんかないし、私が写真を撮ったのは会場の外なんだし、とにかく感じ悪い警備員でした。
そういうわけで、席につくのも、開演ギリギリになってしまった上、ずいぶん不愉快な思いが残ったままだったのですけれど、いざパフォーマンスが始まってしまうと、次第にその不愉快さは忘れて、目の前のステージに見入ってしまいました。「Vareka」のメインテーマは、「森の奥深くに潜む者たちの運命」みたいなことらしく、木に見立てたような棒がたくさんあって、衣装も森の緑や湖の中をイメージしたものでした。前回の「Dralion」と違ったのは、今回は、エスニック色がないからか、演技者に東洋系(基本的には中国系)の人たちが少なかったこと。ロシアとか東欧の人などが多そうでした。中でもいちばんすごかったのは、パンフレットの写真を拝借した、この足の上で回転したり逆立ちしたりするパフォーマンス。ひとりが寝椅子みたいなのにあお向けに寝て、上に乗る人は、その人の足に足をぴったり重ねて立ったり、お尻を乗せて、1回転してまた同じポジションに戻ったりするのです。言葉ではうまく伝えられませんが、とにかく、下で支える人も、上で軽々と演技する人もすごい正確性と力を要する人間技とは思えない迫力あるパフォーマンスでした。その他にも、可憐な衣装に身を包みながらも、ダイナミックな技が満載の圧倒される2時間余りのショーでした。


今週末にかけて、全米中で話題となったのは、映画「The Matrix Reloaded」の公開。ご存じの通り、Academy Awardsで、技術系の賞を総ナメにした前作「The Matrix」の第2作ですが、さらにパワーアップした映像が、公開前から大きな話題になっていました。New Yorkでも、Times Squareをはじめとして、道端や地下鉄のフォームなど、あちこちに「05.15」と大きく書いたポスターが貼られていましたし、このポスターを車体に貼ったバスも横行していましたから、いやでも、公開日を意識せずにはいられない感じ。アメリカでは、映画の封切りは週末にかかる金曜日からというのが普通ですが、5月15日は木曜日。「Harry Potter」シリーズなどもそうですけれど、事前に大入りが予想されるような大作は、しばしば、1日早く封切られることがあります。しかも、今回は、さらに1日前の14日の夜、一部劇場での上映があり、いち早くウワサの映像を見ようと、多くのファンが列を作っている様子をニュースでやっていました。
その中でも、特に長い列が出来ていて、いろいろなニュースに登場していたのが、Times Squareにも近い42nd Streetにある映画館、AMC 25。ここは、スクリーン数も多いし、外側は古い建物ですが、中は新しいので、椅子の座り心地もとってもよくて、場所柄、観光客や若者などでいつもにぎわっています。公開2日目の金曜日ですら、長い行列が出来ていて、歩道には、列を整理するためのついたてが出ていたりしました。私がここの前を通ったのは、金曜日の4時前くらいで、まっとうな勤め人なら、週末を楽しみにしつつも、まだ働いているはずの時間。それでも、かなりの列の長さでしたから、若者やNew Yorkにいがちな自由業?の人たちなどが、さらに混み始めるに違いない花金の夜の前に観てしまおう!と並んでいたのでしょう。
で、やっぱり、このブームには乗り遅れたくなかった!?ので、Manhattanよりは少しはマシと思われる、わが家のアパートにある映画館で鑑賞しました。ここの映画館でも、水曜日の夜の特別上映がありましたが、さすがにそれはすごく混みそうだったので、ちょっと落ち着きそうな金曜日の夜、上映時間の30分ほど前に行ってみました。そうしたら、今まで見たことのない行列が映画館の入口から、店じまいしてしまったショッピングモールの中に続いていました。並んでいるのは、若者がすごく多かったのですけれど、しばらくしたら、映画館の係りの人がまわってきて「この映画はR指定だから、入口でID提示してもらうからねー。」と言いました。映画のレーティングで「R指定」というのは、原則として、17歳だか18歳以下は大人の同伴が必要というものなのですが、今まで、そんなチェックをしているのなんて見たことなかったのでちょっとびっくり。ところが、この忠告が結構効き目あって、私たちのすぐ前にいたグループは「えーっ」と不満の声をあげながらも退散。さらに、彼らが映画館を出て行くときにやって来た仲間らしきグループにもこのことを告げたらしく、彼らもすごすごと引き上げて行きました。ズボンを落としてはいた男の子と、ピチピチのシャツを着た女の子の、ちょっとワルそうなティーンの黒人の子たちだったのですけれど、意外と素直だったところは、見た目よりずっと子どもらしくて、ちょっと微笑ましかったです。![]() (C) Warner Brothers |
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