WHAT'S UP ? in New York

March, 2003 

このところ、いつも戦争関連の話題からになってしまいますが、アメリカが戦争当事国なのですから、それはいたしかたありませんよね。それにしても、前にも書きましたが、当時国であるわりには、私たちの生活にはほとんど影響がないのが、なんだか不思議な感じです。とはいっても、当初の見込みよりも、戦争が長引きそうで、アメリカ側の犠牲者も少しずつ増えています。New Yorkは、街としては、全米平均に比べ、はるかに戦争反対派が多いということはお知らせした通りですが、兵士たちが亡くなったり、負傷したりしていることから、「兵士たちをサポートする」という運動が、最近盛んになっています。具体的にいうと、木や街灯などに、彼らの無事帰還を願う黄色いリボンを結んだり、星条旗を打ち振りながら、戦場で奮闘している彼らへの声援を送るデモ行進をするというようなもの。個人的には、決して「戦争反対=兵士をサポートしない」ではないと思うのですけれど、そうとられてしまうことも多く、反対派のデモに、「君たちは戦場で戦っている兵士たちに敬意を表することができないのか!」と怒鳴り込む人がいたりします。また、ランチ時に職場の同僚と、バスに乗り合わせた人々同士で、携帯電話で友だちと、と、戦争の話題について、意見を闘わせている人々を、しばしば見かけるようになりました。最近では、「兵士をサポートする→アメリカへの愛国心を強くする→戦争賛成」というような流れで、戦争支持派に転ずる人も多く、この問題については、アメリカ人の間でも、相変わらず様々な議論を醸しているようです。
こういう心が落ち着かないときこそ、芸術というものが必要だと、Academy Awards受賞スピーチでNicole Kidmanもいっていましたが、今月、New Yorkには、珍しく、長蛇の行列ができてしまう特別展が2つ開催されていました。先週、今週と、立て続けにこの行列に加わって、しっかり鑑賞して来ましたので、それぞれご紹介します。まずは、Queensに移転してから、ちょっと客足が落ちているのではないかと思われるMoMAの特別展、「Matisse Picasso」。開始前から、今回の展示は、30分ごとの完全時間指定のチケットにするということと、$20(入場料込み)という、アメリカの美術展にしては高額な料金が話題になっていました。でも、私も含めて、それだけ期待できる内容に違いないと思った美術愛好家たちが、先を争って前売り券を買ったようで、週末のチケットは数週間先まで売り切れ!という、MoMAにとっては願ってもない活況を呈したのでした。
MoMA QNSへの交通手段は、Times Squareから出発している7の地下鉄1本で、降りたら駅の前と、とっても簡単なのですけれど、私たちが出かけた週末は、工事のため、このラインがManhattanに乗り入れておらず、別の線で乗り換えてQueensまで行き、そこから7に乗り換えるも、ホームがどこだかわからず、結構苦労してようやくたどり着いたのでした。(今は工事は終了しています、念のため。)入場時間にはまだ早かったけれど、特別展以外に常設展もあるはずなので、早めに入ってしまおうと美術館に急いだら、入口には長蛇の列。この写真の左側に、列はまだまだずーっと続いているのです。入口のお姉さんに聞くと、中の人数を調整するために入場制限をしていて、購入したチケットの時間ちょうどくらいまで入場できないから、時間の15分くらい前に来て、列に並んでほしいとのこと。30分以上1時間未満という、中途半端な時間を持て余した私たちは、しょうがないので、なんにもないこのあたりを散策し、ちょっと離れたところにあったダイナーで、時間までコーヒーを飲んで時間をつぶしました。
指示通り、15分くらい前にまた戻ってきて、列に並び、本当に指定時間ちょうどくらいに、ようやく中に入ることができました。それでも、特別展の入口でまた少し並び、中も今まで見たことないくらいの混雑ぶり。ただ、MatisseもPicassoも、はっきりした色使いの作品が多く、30歳も歳が違うにもかかわらず、似たような手法や色使い、構図の作品を多く描いている彼らの作品を並べて展示するという試みの特別展だったため、少し遠めでも十分、作品を見ることができました。お互いの才能を認め合い、作風を真似し、さらに自分のものにしてしまうというライバルというより盟友みたいな関係だっただけあって、どちらの作品かわからないようなものもありました。共通して感じられたのは、それがたとえ暗い色使いやモチーフだったりしても、のびのびと思いのままに描いたような自由な筆致や曲線。これが、100年くらい前の作品だったりしても、決して古臭くなく、現代のインテリアにもマッチしてしまうようなモダンさのヒミツなのでしょう。やっぱり、才能ある人は違うなーと感じた、巨匠ふたりの展示でした。
そして、この特別展以上の混雑ぶり、つまり、アメリカに限らず、日本にいたときから、ほとんど覚えのないような超混雑ぶりを体験したのが、翌週のMetropolitan Museum of Artの特別展でした。その特別展とは、1月下旬から開催していて、3月30日が最終日だった「Leonardo Da Vinci, Master Draftsman」。いわずと知れたイタリア・ルネッサンスの巨匠Leonardo Da Vinciのデッサンを集めた展示です。期間終了ギリギリまで出かけなかったのは、油絵ではなくて比較的地味なデッサン画であるということと、以前、友だちから、平日にもかかわらずとっても混んでいたということを聞いて、もしかしたら見ずに終わってしまってもしょうがないかな・・・なんて思っていたからなのでした。でも、連日あまりに人が押し寄せるため、最後の2日は、美術館の開館時間を10時まで延長して対応するというニュースを聞き、そこまで皆が見たがるものなら、やっぱりちょっと見ておきたいという気になって、大混雑の最中に出かけてしまいました。

ついこの前は、金色に輝いていたEmpire State Buildingが、今日から赤白青のアメリカ愛国色に変わりました。長引いているイラク戦争で戦っている兵士らに敬意を表してのことのようです。死傷者や捕虜になっている人が出ていることも報じられ、こうなってくると、自国を支持しないわけにはいかないらしく、戦争支持者の割合は、日増しに増えているのだそうです。平和主義者の多いNew Yorkでも、ついに、戦争反対派よりも賛成派の方が多くなってしまったようですが、相変わらず、反対派の抗議行動は続けられていて、最近は、五番街などのメインストリートに何人もが一緒に横たわってじっとしている「Die-ins」というパフォーマンスも行われています。これは、戦争で多くの人々が犠牲者となっていることを、自分たちが死体のように横たわることでアピールしようとするもの。抵抗したり物を壊したりはしませんが、通行の妨げになるため、あっという間に警官が集まってきて、彼らを抱き起こして逮捕してしまいます。いくら、戦争に賛成する人が増えても、絶対反対!という人々の気持ちはとっても強いものなのですね。
ということで、近隣住民は、自分たちの生活をそれなりに楽しんで送っているわけですが、今週は、いよいよ大詰めに近づいているNBAのレギュラーシーズンの見納めに、またまたNew Jersey Netsの試合を観に出かけました。今日の相手は、New York Knicks。州は違うけれども、この両チーム、Knicksの本拠地Madison Square Gardenのちょっと北にあるPort Authorityのバスターミナルから、Netsの本拠地Continental Airlines ArenaのあるMeadowlands Sports Complexまでバスが出ていて、混んでいなければ30分ほどで着いてしまうという、ご近所さん同士なのです。そういう呼び方はしていないけれども、さしづめ「バス・シリーズ」といったところ。少し前までは、プレーオフ進出は当たり前、チャンピオンを視野に入れて戦っていたKnicksと比べ、新興チームのNetsは、実力も人気もはるかに劣っていて、New Yorkのゲームのチケットが入手困難だから、それなら近場のNew Jerseyでと、多くのKnicksファンが、New Jerseyでの試合に訪れたものでした。それが、今や、実力は完全に逆転。昨年、NBAファイナルを戦ったNetsに対し、Knicksは、プレーオフ進出すらできなかったのでした。
今は、すっかりJason Kiddに心酔している!?とはいえ、Manhattanに住んでいたときはもちろん、Knicksを応援していましたから、コートで見慣れた青とオレンジのジャージが躍動していると、つい、どっちを応援しているかわからなくなってしまいます。黄金時代を支えたPatrick Ewingが引退し、その背番号33が永久欠番になった今、中心選手は、こちらのふたり、Latrell Sprewell(8)とAllan Houston(20)。練習をサボったり、無免許運転で逮捕されたりと、見かけ通り!?不良っぽい言動の目立つ「スプリ」こと、Sprewellと比べ、刺青もなくて、パソコン・ショップの宣伝に出ていたりする清く正しく!?おだやかな感じのHoustonは、前からお気に入りの選手のひとり。ふたりとも、好調なら、とても得点能力の高い選手なのに、今シーズン前半は本当に低迷、それがチームの成績にもはっきり現れてしまいました。終盤に近づいて、ようやく調子を上げつつあり、特にHoustonは、先週の試合、ひとりで50点!も獲ったので、Nets的には要注意、個人的には活躍を楽しみにしていました。

思ったよりも、Knicksファンは少なかったのですが、それでも、Sprewellが切れのいいシュートを決めたり、Houstonがロングシュートを決めたりするとあがる歓声から、今までのどの対戦よりも、相手チームのファンが多いことは確実でした。ハーフタイムに見かけた選手のジャージは、やっぱり、Sprewellの8が圧倒的に多くて、次いでHoustonの20がぼちぼちというくらい。それに、引退したのは先シーズンですが、彼がNew Yorkを去ったのは、もう3年くらい前なのに、Ewingの33のジャージを着ている人もちらほら見かけました。まあ、選手人生のほとんどをKnicksで過ごした彼は、やっぱり、New Yorkのファンにとっては、永遠に伝説の名選手ですものね。
そんなわけで、双方の応援が盛り上がる中、序盤から白熱した試合展開が続いていたのですが、ちょっと戦争ムードを意識させられたのが、ハーフタイムに行われたショーででした。テレビのアイドル発掘番組として大人気を博している「American Idol」を思い切りパクッた、その名も「New Jersey Idol」というコンテストが、今年になってから毎試合行われていて、今日は、その準決勝戦でした。テレビ同様、応募者が観客の前で歌を披露し、勝ち抜いて、最終的にはひとりの優勝者がレコード・デビューなどのチャンスを得られるというのがコンテストの主旨。ただ、勝者を決める判定は、会場の拍手やブーイングなのと、伴奏なしのアカペラで歌わなくてはいけないのが大きく違うところ。さすがに準決勝とあって、3人の出場者は、皆うまかったのですけれど、ひとりめが歌ったのが「God Bless America」、ひとりおいて3人目が「America the Beautiful」。2人目の人は、Whitney Houstonの歌を歌い、下手ではなかったのですけれど、なぜかブーイング。このご時世、アメリカ愛国の歌を歌えば、ブーイングはしにくいだろうし、もともと下手ではないんだから、その方が観客の心をつかめるはずだと思ったのでしょうね。結局は、3人目の黒人男性が決勝進出を獲得しましたけれど、今までは、めいめいに好きな歌を歌っていたので、「なんだかねー。」と思ってしまいました。私たちの隣に座っていた男性は、ひとりめが「God Bless America」を歌うと言ったら「それはもう聞いたぞー。」と叫んでいましたけどね。
今週末は、映画界の総決算、75th Annual Academy Awards、通称オスカーの授賞式です。開催は、Hollywoodなのですけれど、New Yorkでもそれを祝して、今週末は、Empire State Buildingが、受賞者に渡されるOscar Statuette(オスカー像)よろしく、金色に輝いていました。今年は、映画鑑賞にちょっと気合を入れて!?オスカー開催前に、最優秀映画賞候補作品は、「The Lord of the Rings The Two Towers(ロード・オフ・ザ・リング)」以外は全部観ましたし、それ以外でも、ノミネートの多い話題作は観ました。「The Lord of the Rings・・・」については、嫌っているわけではなく、1作目を観たところ、内容がよくわからなかったため、原作を読んでから3本まとめて観直そうと思っているので、今回はパスした次第です。
で、それについて書く前に、New Yorkでは、またまた大規模な反戦活動があったので、それについてお知らせしておかなくてはなりません。すっかり春めいた陽気となった土曜日、かねてからの予告通り、Manhattanの中心、Times Squareから、ダウンタウンのWashington Square Parkまで、反戦を訴える人々が終結して、デモ行進を行いました。近くで早めのランチをとって、たまたま、開始時間にそこに居合わせたため、私たちも、その群集の真っ只中に入ってしまいました。デモの通り道になっている地下鉄の出入り口が軒並み封鎖されていたため、入口を探してさまよった結果、なんだか流れの中に飲み込まれてしまったのです。開いている地下鉄の出口からは、次々とプラカードを持った参加者が吐き出され、流れに加わっていました。最終的な参加人数は、20万人!だったともいわれていますが、とにかく、組織だった大きな団体ではなくて、個人ベースでの参加者が本当に多かったようでした。


人々が掲げていたプラカードは、平和をアピールするものに加えて、George W.Bush大統領を批判したものが多く、様々なパターンの似顔絵を用いて、コミカルに彼の戦闘指令を皮肉っていました。このあたりのユーモアのセンスは、アメリカ人のお得意なパターンですね。
それから、この行進でたくさん見かけたのが、子供を連れたファミリーの参加者。お父さんに肩車されたこの女の子は、「Drop Bush Not Bombs(ブッシュをやめさせて、爆撃はやめて)」と彼女の手書きらしい文字のプラカードを掲げていました。ニュースでもこういった家族連れの参加者にインタビューしていましたが、基本的には親の意思ではあるものの、子供自身も戦争や爆撃について、自分の意見を持って参加している子が多いようでした。アメリカでは、かなり小さいときから、個人が尊重される分、自分の意見をしっかり持つことが必要とされるため、こういう重要な物事については、状況についてきちんと説明されたうえ、どう思うかということを家庭や学校で話し合うということがよく行われるようです。
そんな反戦ムードが高まる中、予定通り行われた75th Annual Academy Awardsでしたが、さすがに戦時下ということで、恒例の赤絨毯の上でのファンやマスコミへのお披露目サービスは中止。華やかな女優さんたちのドレスも、ちょっぴり控えめでした。賞レース的には、最優秀作品賞や主演女優賞など、「The Hours(めぐりあう時間たち)」と「Chicago(シカゴ)」の一騎打ちみたいなところがありましたが、Nicole Kidmanが念願のオスカーを手にしたものの、結果的には、作品賞をはじめとして「Chicago」の大勝利!でした。主演でノミネートされてもおかしくないCatherine Zeta-Jonesは、本当にあの映画では光り輝いていましたし、オリジナリティがないのはしょうがないとしても、純粋に楽しめる映画だったので、個人的にも、いまひとつ不可解?だった「The Hours」よりも、作品賞にずっとふさわしい気がしていました。

最後に、また、戦争の話題に戻ってしまいますが、今回の授賞式では、リベラルで平和主義者の多い、芸能関係者が、受賞コメント等で、大統領批判や反戦のメッセージをいうのではないかと注目されていました。結果としては、ドキュメンタリー作品賞の受賞者が露骨な「Shame on you, Bush!(恥を知れ!)」という発言をしましたけれど、あとは、政治的な発言で知られるSusan Sarandonはピースマークだけだったし、平和を意味するハトのバッジやブローチを着けていた人が多かったくらいで、大きな波紋を呼ぶ発言はほとんどありませんでした。最新の報道のように、アメリカの兵士にも戦争による犠牲者が出始めたりすると、ただただ戦争を批判するよりも、先ほどのAdrien Brodyのように、戦場にいる兵士たちのことを思いやりつつ、平和を願うという発言の方が大勢に受け入れられるよう。「戦争を支持しない」=「戦場にいる兵士たちを支持しない」ではなくて、戦争には基本的には反対だけど、戦場にいる兵士たちのことはサポートするという考え方が、New Yorkでも主流になりつつあるようです。
ようやく、名実ともに春がやって来たのに、このニュース関連の話題をお伝えしなくてはいけないのは、残念です。ご存じの通り、ついに、アメリカの対イラク攻撃が始まってしまいました。こちらに来てから、今までも、イラクやアフガニスタンに対して攻撃をしたことはありましたが、今回は正真正銘の戦争。テレビをつけても、朝から晩まで、戦争関連のニュースばかりが流れるので、なんとなく重苦しい雰囲気になってしまいます。アメリカの新聞は、全国紙ではなくて、どれもその地域のニュースを扱うローカル紙ですが、今回ばかりは、さすがにどれも戦争のニュースが一面トップ。楽しみにしていた方も多かったに違いない、大リーグのSeattle Marinersの日本開幕戦も中止になってしまいました。これは、飛行機に乗るのが危険とか、日本で狙われるかもしれないということより、戦時下にあるアメリカの国民として、ほとんど地球の裏側である日本に行くことによって、自分の家族と離れ離れになってしまうという不安を持つ、選手やその家族の感情に配慮したことが大きいようです。
最近のニュースでは、アメリカ国民の6割以上が、ブッシュ大統領の戦争開始命令を支持しているとのことでしたが、New Yorkに限っていえば、そんなことはないようです。New York Cityのローカル・ニュース・チャンネルNY1の調査によると、「戦争を支持している」人が35%なのに対し、「戦争反対」が51%。 もともと、リベラルで民主党支持者が多い(ブッシュ大統領は共和党)土地柄ではありますが、それだけでなく、とにかく、武力に物をいわせて制圧しようというやり方を嫌う人は本当に多く、あちこちでデモや集会が行われています。平和主義者のメッカといえば、Union Squareで、連日、戦争中止を訴える人々が昼間から集まっています。私もチラシをもらったのですが、A.N.S.W.E.R.Coalition(Act Now to Stop War & End Racism)という団体が、集会を開いていて、この後、夕方にはTimes Squareまで抗議のデモ行進を行うことになっていました。いろいろな人種の人が集まっていて、交互にマイクで自分の戦争反対に対する思いを述べていましたが、ある人が「この国は移民である自分を受け入れてくれてよい国だ。でも、自分たちが(テロ事件で)攻撃されて大変な被害を受けて『テロはいけない』といっているのに、今度は自分たちが攻撃している。そういうダブル・スタンダードを持っているのは残念なことだ。」といっていたのが、印象的でした。ここから北上するバスに乗ったら、途中、道端の看板に「STOP BUSH」となぐり書きしてあるのも見かけました。
とはいっても、戦争が始まってしまったのは事実なので、その報復テロの警戒はしなくてはなりません。2年前のテロ攻撃同様、アメリカを象徴する大都市であるNew Yorkは、首都Washington D.C.と並んで、ターゲットになる可能性が高いことから、街角にパトカーも含めて警察車両と、警官の姿がめっきり目立つようになりました。毒ガスを含む、生物化学兵器の使用も懸念されているため、地下鉄の駅には、たいてい警官がいて、入口を飛び越えたりくぐって入ってくる無賃乗車の若者を捕まえているところも何度か見ました。そのおかげで、地下鉄内の犯罪は、ぐんと減っているのだそうです。写真のGrand Central Terminalはじめ、交通の要所や観光地には、たくさんのパトカーやトラックが止まっているため、交通渋滞を引き起こしたり、歩くのに邪魔だったりしますが、まあ、それくらいは仕方ないですね。
NYPD(New York City Police Department)の警官の姿は、見慣れているものの、今は、それ以外の制服の人たちもたくさんいます。駅やバス・ターミナル、トンネルの入口などに必ずいる迷彩服の警備兵の他、New York、 New Jersey両州の州警察、さらには、それぞれのビルで雇った警備員もいたりするので、本当に、街中制服だらけといっても過言ではないほど。今まで、お店の中で写真を撮っても、とがめられたことなんてほとんどなかったのですけれど、なんと、ショーウインドウを撮っていたら「撮らないで。」と注意されてしまったところもありました。今までも、警備の人っていたように思いますが、真剣に見ていなかった!?っていうことなんでしょうか。それだけ、警備関係の人々がいるので、おかげさまで、治安的にはかなりよいような気がします。
Times Squareに近いMadame Tussaud's Wax Museumには、入口のところに、ブッシュ大統領・パウエル国務長官・フセイン大統領の3人がアメリカ国旗を背に並んで立っている像が置いてあります。観光客には大人気で、始終、だれかが一緒に記念写真を撮っているような状態。戦争が始まるしばらく前からここに置いてありますが、3人とも表情は笑ってはいないものの、一応、穏やかに同じ場所で話をしているような感じ。本来なら、こういう光景が見られればいちばんよかったのでしょうけれど、そうはなりませんでした。今のところ、アメリカ軍の圧倒的優勢が伝えられ、戦争自体が予想より短く終結するような見通しも出ているようですが、こうなったら、1日も早く終わってほしいものです。
池というより湖といった方がふさわしい、このThe Lakeも、この冬は、すっかり表面が凍ってしまい、無料のスケートリンクと化していたわけですが、さすがにこの暖かさで周囲は解け始めているものの、まだ、かなりの部分が凍っていたのには驚きました。春の出会いの季節が到来して、カモくんたちは、軒並みカップルで仲良く行動していましたが、写真の手間の部分の水面部分は泳いで移動していたものの、凍っている部分では、ペタペタと歩いていました。全体的には、まだ凍っている部分の方がずーっと多くて、足の裏が冷たくないのかしら?と心配になるくらい、立っているカモがたくさんいました。この冬、同じく表面が凍って大量の流氷が見られたHudson Riverは、さすがに水の流れがあるから、もう、凍結している部分なんて全然ありませんが、まだこんなにも氷が残っているなんて、よっぽどしっかり凍ってしまったということなんでしょうね。
小高い丘みたいになっているところも、人だらけ。まだ芽吹いてもいない、殺風景な木々と茶色い芝に、お花見と見まがうばかりの人々というのもなんだか、ちょっとおかしな光景です。ジャケットやコートを脱いでいるのはもちろんのこと、気の早い男性は、上半身裸になって、フリスビーをしたり、寝そべったりしていました。
この春のうららかな公園で見かけたのが、まずは、結婚式の写真を撮るカップルたち。まだ、花や緑が乏しいので、水辺や装飾的な階段などでポーズを撮っていました。この写真を撮っている人たちは、例外なく全員中国系の人たち。中国系の人たちは、自分たちの写真を撮るのが本当に好きですよね。前に、台湾に旅行に行ったとき、たまたま、泊まっていたホテルで盛大な結婚パーティーがあったのですが、誰でも入れるようになっていたので、ちょっとのぞいてみたら、部屋一面に、巨大なものからごく小さいものまで取り混ぜたカップルの写真が貼ってあって、ちょっと度肝を抜かれました。だから、今、結婚式を挙げた人たちだけでなくて、お天気のいい日に写真だけ撮りに来たというカップルもいたのではないかと思われます。それから、人が集まるところにいたのは、いろいろなパフォーマーの人たち。西から東へと渡る道の途中にいた、この若者たちは、きっとジュリアードかどこかの学生さんなのでしょう、バイオリンとチェロの弦楽奏で、ぎこちなさは残るものの、一生懸命演奏していました。
週末に公園に出かけた、もうひとつの目的は、ここ、Tavern on the Greenのブランチをいただくことでした。日本からのお客さんを連れて、何回か食事をしたことはありましたけれど、ちょっと前に、NYの検索サイト兼オンライン・ガイドCitysearch New Yorkの、Best Brunchに、このレストランが選ばれていたので、それなら一度ブランチしなくちゃ!と思っていたのでした。場所柄、予約なしで来る人も多いようでしたが、予約しておくと、ガラス張りの温室みたいなダイニングエリアに通されます。ちょうど、公園側から入れる庭のところに面している部分ですね。明るい日差しが窓いっぱいに差し込む室内には、細長い花壇が中央にしつらえてあって、ランやキク、ツツジなどの色とりどりの花々が、緑といい具合に取り混ぜて植えてあり、まさに春爛漫の趣でした。クリスタルのシャンデリアに光が反射し、冬は濃い色だった気がするテーブルクロスも、ピンク色で、明るさを添えていました。もともと、ここは、味よりも雰囲気を味わうアメリカ料理のレストランなので、ブランチ・メニューも例外ではないのですけれど、どこでも似たりよったりの卵料理やサラダ、サンドウィッチといったメニューなので、大きくははずさず、まずまずでした。ただ、量はやっぱりかなり多かったですけれども。お値段も高めですが、広くて観光客も多いレストランだから、多少騒いでも大丈夫だし、気兼ねなくゆっくりしたりもできるうえ、事務的で冷たい感じではありますけれど、サービスもそんなに悪いわけではないので、New Yorkおのぼりさん気分!?で行くブランチも、そう悪くないと思います。
| Copyright (c)1998-2003 Kyoko All Rights Reserved |