あの、2001年9月11日から、1年経ちました。New Yorkはじめ、全米各地で行われた、テロ事件の1周年を記念する行事を、テレビでご覧になった方も多いことでしょう。いちばん多くの犠牲者を出したNew Yorkでは、先週末くらいから、様々なメモリアル・イベントが始まり、今週いっぱいは、街全体がそれ一色といった雰囲気です。「イベント」と日本語でいうと、なんだか華やいだ出来事のようなイメージがありますが、英語の言葉自体は、「行事」というくらいのフラットな意味合いなので、今回のイベントについては、大きなお葬式とか、法事が開かれていて、それに多くの人々が参加しているような感じ。もちろん、いろいろな場所でコンサートが開かれたり、各国からVIPが訪れたりして、街はにぎわいを見せてはいますが、皆、この大きなお葬式に参列するために訪れているわけですし、しかも、テロ再発を防止するための厳戒体制が敷かれているので、ちょっと普通とは違う雰囲気に包まれています。ブックストアの店頭にも、星条旗やワールド・トレード・センターの写真が表紙の特集号が並んでいます。ちなみに、右下は、去年は亡くなった消防士の写真が含まれていたため、販売中止になったFDNY(New York City Fire Department)のカレンダー。日本でも、某航空会社のスチュワーデスさんのカレンダーがありますよね。あれの男性版だと思っていただければ大差ありません。 五番街やその周辺のお店も、ほとんど営業はしていますが、喪に服すように、ショーウィンドウを片付けてしまっているところをよく見かけました。高級デパートSaks Fifht Avenueでは、全てのショーウィンドウに白いスクリーンを張ってしまったうえ、9月11日のみ、開店時間を正午に遅らせていました。近くのCOACHも展示してあった商品を全部下げて、星条旗と花に置き換え、ウインドウには「In memoriy of September 11th, 2001」の文字が。私がこの辺りを歩いたのは、前日の午後なので、当日までには、さらに多くの店舗で同じような対応をしたのかもしれません。お店を閉めてしまったところは、実際はそんなになかったようですが、関係者やごく近しい人が亡くなってしまった個人商店やレストランなどでは、やはり、この日に営業する気にはなれず、臨時閉店としたようです。この他、現場近くのNew York Stock Exchange(証券取引所)も、開始時間を正午まで遅らせましたし、少なくとも、最初に旅客機がWTCに突入した8時46分からしばらくは、黙祷したり、祈りを捧げたりする時間であるという認識が、New Yorkerの間には浸透していたようです。 いつも通る、Port Authorityのバスターミナル構内にも、メモリアルとして、ガラスのような透明のツインタワーが設置されていました。事件当時、ツインタワーを管轄していたのが、Port Authorityだったため、NYPD(New York City Police Department)と同じように、現場の警備や避難誘導に当たっていたPort Authority Policeの警官の人々も、犠牲になってしまったのでした。 こういう、事件を直接的に思い起こさせるようなものも、事件当時、始終、テレビで流されていた、衝撃的な事件の瞬間や、行方不明になった家族や親しい友人の写真を持って現場付近を歩き回る人々などの映像も、このところ、しばらく目にすることはありませんでした。それは、事件後、半年を過ぎた今年の3月くらいからは、そろそろ喪に服すのはやめ、新しい未来に向けて歩き出そうという気運が高まっていたからに他なりません。でも、1周年とともに、再び、それらが復活してきて、当時ほど強い衝撃はないものの、やはり、あの頃を思い出して、正直、ちょっと気がめいってしまったりすることもあります。これは、時が経っても、完全に忘れてしまうわけではないから、しょうがないことなのでしょうけれどもね。 前にも書きましたが、個人的な知り合いであの事件の犠牲になった人はいませんでした。それは、本当に、不幸中の幸いといってよいと思います。2,800人もの命をあっという間に奪ってしまった衝撃的なテロ事件。テロという卑劣な行為への怒りもさることながら、個人的に、あの事件で、いちばん強く感じたのは、どんなことでも起こりえてしまうという、世の中の非情さというか、運命のめぐり合わせというか、個人の力をはるかに超えた出来事があるという事実でした。そして、その後の日本での報道などを見たり聞いたりするたびに、大好きなNew Yorkの本当の姿をお伝えしたくて、このHPを続けていく意欲がそれまで以上に強くなったということもありました。New Yorkのために、立ち上がった肌の色も年齢も出身地も様々な人々を見て、自分で出来るのは、このHPを続けていくことなのかな・・・と。そして、1年、それが、皆さんに少しでも、お伝えできているとうれしいです。 あの日、家の窓からひとり、煙を上げ、崩れ去って行くワールド・トレード・センターを、この目で見てしまったことは、これから一生忘れられないでしょう。そして、最後に、お亡くなりになった方々のご冥福を心よりお祈りいたします。 ↑先頭に戻る
暑くて雨もたくさん降った8月の終わりとともに、New
Yorkの夏も終わってしまいました。こちらでは、9月2日がLabor
Dayでお休みだったため、31日から3連休。気づいたら9月になってしまったといった感じです。最近、空模様が不安定ではありましたが、この週末は、雨がちだったうえ、気温が一気に下がり、最高気温でやっと20℃程度という涼しさ。もう、これはセーターの出番かしら?と思いきや、また、30℃以上の暑さに戻るらしいので、すっかり秋になってしまったというわけではないようですが、それでも、もう、なんとなく秋冬物を出してきたいような今日この頃です。 さて、日本の9月の風物詩といえば、中秋の名月ですが、New
Yorkでも、同じように月が美しいときです。こんなふうに、Manhattanの高層ビルの上にピンクがかった美しい満月が見えた年もありました。New
Yorkでは、一大勢力を誇る中国系の人たちに、同じお月見の習慣があるからだと思いますが、ニュースでも、「今日がHarvest
Moom(=中秋の名月)の夜です。」という報道をするのです。正確には、陰暦の8月15日ということなので、だいたい9月の中頃になるようですね。 で、それにタイミングを合わせたのか?先週から、Grand Central
Terminalで、月にちなんだ!?面白い展示が行われていました。なんといっても、まず、目に付いたのが、高い天井から下がっているシャンデリアに届かんばかりの、巨大な宇宙飛行士。しかも、下には巨大な木の実が転がっています。これ、よく見ると、股の間に挟んでいるのも同じクルミの実で、どうやら、宇宙飛行士の形をしたくるみ割り人形なのでした。この展示のタイトルは、『MOONLIGHTING: The MTV Moonman Takes on All New
Roles』というもので、とにかく、日常で使う生活用品が、すべてこのMoonmanなる宇宙飛行士の形をしているのです。巨大なのは、このくるみ割り人形だけで、あとは、ホール内に作られたガレージや部屋の中にいろいろな器具となったMoonmanたちが置かれていました。 個人的なお気に入りは、こちらのふたつ。左は、プレイルームの一角にあったレコードプレーヤーで、レコードをセットする部分がMoonmanになっているもの。冷静に見ると、このままじゃ、レコードをセットすることができないので、使えないといえば使えないのですけれど、うやうやしくレコードを持っている様子が、頑張って働いているようで、なかなかカワイイ。そして、右は、キッチンにあったバーベキューの串がMoonmanになっているもの。こちらも、串に刺さった野菜を一生懸命支えているような形になっているところが、ミソ。でも、これも、冷静に考えると、直火で焼いてしまうんだから、ちょっと残酷・・・ですけれどもね。他にも、取っ手を動かして人形にボールを蹴らせるテーブルタイプのサッカーゲームの人形が全部Moonmanになっていたり、横たわってローラーブレードの車輪を支える部分になっていたり、工夫をこらしたいろいろなものがありました。 季節的にも、名月はこれからなので、ずっと展示していればいいのに、この特別展は、8月29日にRadio City Music Hallで行われたMTV Music
Awardsのイベントの一環だったらしく、残念ながら、連休明けの9月3日迄で、ここでの展示は終了してしまいます。でも、この後は、Art Directors
Clubというギャラリーに場所を移して、9月9日〜27日の期間、展示されるようなので、見逃した方は、こちらでご覧になってください。ギャラリーの場所、営業時間等は、http://www.adcny.org/で。 ↑先頭に戻る