かたや、地面や屋根が粉砂糖のような雪で覆われた真冬の風景、そして、もう一方は、子供たちの自転車を積んでキャンピングカーでピクニックに出かける春から夏にかけての行楽シーズンの風景、これが、同じ週、ほぼ同じ場所で撮った写真なんですから、やっぱり、New Yorkの気候の変化は並じゃあありません!ちなみに、雪が降ったのは、この前の火曜日で、その数日後、週末までには、気温が急上昇、最高気温が60°(約16℃)にも届こうかという、ポカポカ陽気になってしまいました。一応、ここでも「暑さ寒さも彼岸まで」ということで、オフィシャルに春が訪れるのは、昼と夜の長さが同じになる春分の日とされており、まだ、数週間あるのですけれど、ここ数日の陽気は、もう、すっかり春になってしまったのかと思えるものでした。 ダウンタウンのレストランにランチに出かけた後、お天気に誘われて、なんとなく、夏の観光地であるSouth Street Seaportに寄ってみたら、この季節とは思えないほどの混雑ぶりでした。季節柄、観光客がたくさんいるとは思えないので、おそらく、皆、周辺に住んでいる人ばかりで、暖かくなると、つい、心地よい風の吹いてくる水辺に行ってしまうという心理は、誰にでも働くようです。 レストランやショップが入ったPier 17の建物がある桟橋の辺りにも、家族連れを中心に人があふれていて、道端では、鍵をつけた鎖から瞬時に抜けてみせるマジシャン、風船でいろいろなものを作ってくれるピエロみたいな格好をした人、色鮮やかなフェイス・ペインティングをしてくれるお姉さんなど、子供に人気のストリート・パフォーマーたちがたくさん出ていました。細長い風船でいろいろなものを作ってくれるのは、ちょっと前まで、プードルみたいな犬とかお花みたいなのが主流でしたが、今回は、刀と鞘、頭にかぶる兜?みたいなものが人気で、男の子だけじゃなくて、女の子も風船の刀を振り回して喜んだりしていました。これも、ゲームはもちろんのこと、「スター・ウォーズ」とか「The Lord of the Rings(オスカー獲り過ぎ!)」の影響?残念ながら、「The Last Samurai(渡辺 謙さん残念でした。)」の影響とはいえない気がしますけれど。 East Riverに面したところまで歩いて出てみたら、運搬船などに混じって、白い個人所有の小型ボートが、勢いよく川面を滑って行きました。きっと、気の早い人が、今年初めての舟遊びを楽しんでいたのでしょう。それを眺めながら、川べりの木の階段に座って、アイスクリームを分け合うのが、カップルに人気でした。この光景は、日の光が、差すような強さではなくて、どことなく柔らかいことを除けば、春というより、まるで初夏のよう。 フラフラとのぞいたショップも、New YorkではここにしかないAbercrombei & FitchやGuessなど、比較的、若い子向けのブランドではありますが、すっかり夏物がメインでした。気候の変化が激しい分、春とか秋みたいな中間の季節が短いから、薄手の長袖とか半袖を着るよりも、ジャケットの下はすぐ袖なしやキャミソールというような服装は多いかもしれません。そして、秋口から続いている?ミニスカートの流行は、暖かい季節になって、いよいよ本領発揮のようで、どこも、プリーツやフレアの装飾がついた、びっくりするほど短いスカートを出していました。それから、裾を絞ったりするクロップトパンツも相変わらず人気のよう。アメリカ人もティーンくらいまでは、女の子もとっても細い子が多いので、こういうティーンが好きな服のブランドは、サイズがやや小さめ。日本人女性で愛用している人も多いようです。このポカポカ陽気、今週も継続するようですが、このまま暖かくなってしまうほど、New Yorkのお天気は甘くない!?ので、実際に、こういう服装が出来る季節はまだまだ先のことでしょう。 ↑先頭に戻る
今週のNew York、いえ、おそらく全米中で大きな話題になっているのが、水曜日に公開されたMel Gibson監督の映画「The Passion of the Christ」。イエス・キリストが十字架に貼り付けにされて死ぬまでの半日間くらいを描いた映画なのですが、今までのキリストを題材にした映画と違うのは、捕らえられてから死に至るまで、彼が執拗に受けた拷問などの場面が忠実に再現されているということ。そして、どうも、キリストを迫害したのがユダヤ教の人たちということで、映画の内容に関して、宗教的な対立を呼んでいます。キリスト教の信者の皆さんは、概ね、このリアルな描写に関して好意的。「事実は事実として表現すべき」などという評価で、この映画を鑑賞することを勧めたり、チケットを大量に購入して、他の信者に配ったりしているような人たちもいるそうです。そして、もちろん面白くないのが、「悪者」にされた形のユダヤ教の人々。New Yorkは、ことさら、ユダヤ系の人口が多いため、厳格な信者を中心に、不快感を露にする人が少なくなく、映画館の前で「映画を見ないように!」という抗議活動をする人たちまでいたりします。宗教心の薄い日本人の私としては、どちらに肩入れすることもありませんが、ここまで話題になっているので、ちょっと見てみようかしらん?という興味もアリ。但し、拷問の場面などはかなり残酷らしいので、それを正視できる自信があんまりないのに加え、セリフがラテン語などで、英語字幕というのがちょっと難点。わが家のアパートのビルでも、水曜日より公開中なので、決心がついたら?見ようと思っています。 で、そんな決心もなにも必要なく、ただただ見たくて、今週出かけたミュージカルが、Hught Jackman主演の「The Boy From OZ」でした。いろいろなところで評判を調べてみたら、オーストラリア出身のエンターティナーPeter Allenの一生を描く、このミュージカルのストーリーなどは平凡でそんなに面白味もないけれど、ほとんど出ずっぱりのJackmanの歌と踊りはパワフルとのことだったので、ディスカウントが出て、すぐ、チケットを買ってしまいました。ストーリーを簡単に説明しますと、オーストラリアの片田舎で生まれたAllenは、少年の頃から、歌や踊りの才能を認められ、10代後半で、ショービジネスに憧れて香港のクラブで歌い始めます。そこで、たまたま来ていた、今でもアメリカ人が大好きな映画「Wizard of OZ(オズの魔法使い)」でも有名なJudy Garlandに認められ、彼女の前座としてアメリカに渡り、さらに、彼女の娘であるLiza Minnelliと恋に落ちて結婚してしまいます。その後、手掛けた映画の主題歌でAcademy Awardsを獲ったり、Radio City Music HallでRockettsと競演したりと、売れっ子のエンターティナーとなりますが、Lizaと破局、その後、出会ったボーイフレンドと同棲するも、彼がエイズで亡くなり、本人も最後は同じ病に倒れてしまうというのが結末。 とにかく、このミュージカルの見所は、ズバリ、Hugh Jackmanの魅力!につきます。舞台での生着替え!?あり、最後はゲイに転じてしまうので、男性とのキス・シーンあり、トークありと、まるで、彼のワンマンショーのよう。今回は、端っこながら、前から5番目といういい席だったので、本当に間近であの抜群のスタイルのJackmanを見てしまいました。誰よりも長い手足に小さい顔、適度にたくましい腕や胸板など、整い過ぎているほど整っていて、久々に目がハートマークになってしまうような、なんか、すごくカッコいいスターを見た気がしました。そして、今回、特にトークが多くて、幕が上がって早々、若い女性ふたりが遅れて客席にやってきたのを目ざとく見つけ、彼女たちにスポットライトを当てさせた上、「なんで遅れたの?」と聞き、仕事でというと「どこでなにして働いてるの?」などと、遅れたことを責めるというより、まるでナンパ!?あげくの果てに、「急いで来たならお腹すいてるよね?」みたいなことを言って、スタッフに箱入りのチョコレートを持ってこさせ、それを彼女らにあげたのでした。で、その彼女たちの席っていうのが、なんと、私の2人置いて隣だったんです!休憩の間に、いろんな人に「どういうチョコレートもらったの?」とか質問された彼女は、気前よく、箱をあけてくれて、チョコレートを皆に配ってしまいました。もちろん、すぐ近くの私もおこぼれに預かり、間接的とはいえ、Hugh Jackmanがくれたチョコレートを食べてしまったのでした!ラッキー!ちなみに、チョコレートは、緑色のボックスに入ったTeuscherのシャンパン・トリュフ(多分)でした。他にも、一緒に来た友だちを指して「今日はこの子の誕生日なの!」といきなり発言した?黒人の小学校教師の女性を、舞台の袖に呼んで、一緒に踊ったりとなんか、ノリノリでした。
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実物の方がずっとカッコ いい!?パンフレットの写真
それから、忘れちゃいけないのが、Peter Allenがオスカーを獲った映画の主題歌のことですが、New Yorkを舞台にした、Dudley Moore演じる大富豪と、Peterの前妻Liza演じるしがない女性の恋愛物語「Arthur」の主題歌で、「Arthur's Theme (Best that You Can Do)」というタイトル。これだけだとピンと来ないと思いますが、歌った歌手がChristopher Crossで、邦題が「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」というと、「ああ、あれね!」とおわかりになる方も多いはず。今回の舞台でも、Jackman演じるPeterと、Lizaが恋に落ちるシーンで、ふたりによって歌われました。「Arthur」は、こちらに来てから、テレビで何回か見たことがありますが、1981年の映画なので、ちょっと古臭い感じはしますが、まあ、New Yorkらしいラブストーリーです。興味ある方はご覧になってみてくださいね。 てなわけで、もともと、わりと好きな俳優さんではありましたが、カッコいいだけじゃなくて、気さくで感じがよく、チョコレートをもらったから!?っていうわけでもありませんが、私の「Hugh Jackman株」はますます上がり、批評家の皆さんには評価されていなくても、ミーハー心が満たされたこのミュージカル鑑賞はかなり満足度の高いものでした。 ↑先頭に戻る