WHAT'S UP ?
in New York 
July, 2002 

さて、とはいっても、まだまだ夏休みで家族連れや学生さんの観光客がうじゃうじゃいるNew
Yorkの街。日本でもお盆休みなど、本格的な夏休みはこれからという方も多いかと思います。最近、日本から来た友人などを案内していて、Ground
Zeroの現場以外で、あのテロ事件を直接的に連想させるものがとても少なくなったことに気づきました。でも、今でも、いくつかの事件を偲ぶ場所が残っています。それを少しご紹介していみます。最初は、Times
Squareからも近い、8th AvenueにあるStatue of
Firefighter(消防士の像)。これは、もともとどこか違う都市に置かれるものだったらしいのですが、あの事件の後、New
Yorkにある方がふさわしいからという理由で、とりあえず、道路の脇に置かれました。片隅とはいっても、普通の通りにデンと置いてあるので、あくまで一時的なものだったはずでしたが、1年近く、このままにしてあります。事件直後は、この像の周りに花やロウソクなどのお供え物が絶えませんでしたが、さすがに最近は少なくなりました。場所は、8th
Avenueの45th Street、ちょうどMilford Plaza Hotelの前です。
それから、こちらは、観光ではたいてい訪れるSOHOでずっと開催されているHere is New
Yorkという展示。9/11に関連した写真を展示していて、気に入った写真があれば、$25で買うことができます。そして、その収入は、犠牲者の家族らへの基金に回るというしくみ。この写真展のことは、ニュースで見て知っていたのですが、冬の頃、SOHOに行ったとき、こことは知らず、なにげなく入ってしまい、辛くて出てきてしまったことがあります。多分、ちゃんと気構えていれば大丈夫だったのですけれど、いきなり、テロ関連の映像を見ると、やはり、まだちょっと心理的に動揺してしまう時期だったからだと思います。今は、だいぶよくなりましたけれど、それでも、ここの写真は素人の人たちが撮ったものも多く、そのなにげなさが私にはちょっと刺激が強かったりもするので、人をここに連れてくるときは、いつも外で待っているようにしています。場所はSOHOのど真ん中、Prince
Streetの南側、Greene StreetとWooster Streetの間で、開放時間は、水曜日から日曜日までの11:00am 〜
6:00pm。ギャラリーは隣り合って2ヶ所あります。入場無料。詳細は、http://www.hereisnewyork.orgでご確認ください。
そして、これは、New
Yorkを訪れた方なら、たいていご覧になったでしょう、Grand Central
Terminalにある、行方不明者用の掲示板。写真は、まだ寒い時期のものですが、多くのビラやボードが撤去されてしまった今も、この掲示板だけは残されたままになっています。決してはがされることのない、亡くなってしまった方々の写真やそれを必死に探していた家族のメッセージの上に、ここを訪れた人たちの宗教的な慰めの言葉や、平和を願う気持ちなどを書いた新しいビラや書き込みが重ねられています。一時は、街中の至るところに同じようなビラがたくさん貼ってありました。事件から、半年を経過した今年の3月に、ほとんどの場所が片付けられ、喪に服すことからの脱却を図る動きが見られましたが、ここだけは、残すことに決めたようです。数は少なくなりましたが、Memorial
DayやIndependence Dayのような記念日には、花束やロウソクなどが供えられたりします。
その他の場所では、今月前半にもご紹介した、3月11日の半年記念の時からBattery
Parkに展示されている、あちこちがへこんだSphereという銅像。これくらいが、今なお残る9/11を物語るものや場所ではないかと思います。私自身、わざわざ、あの事件を思い出すためにこれらを見に行くということはありませんが、New
Yorkに旅行でいらっしゃったりすると、なにか、あの事件にちなんだものを見てみたいと思う方も多いようなので、あえてご紹介してみました。
週末は終始曇り空だったものの、気温があまり上がらなくて、比較的過ごしやすいお天気でした。これで夏もそろそろ終わり?と思いきや、今週は、また、90°(32℃)以上の日々がやってくるようで、まだまた、夏は健在のようです。
いつもの定番コース、お気に入りの「老飯店」(お気に入りレストラン参照)で、たらふく食べた後、「仙跡岩
Saint's Alp Teahouse」(こちらもお気に入りレストラン参照)で、タピオカ入りのミルクティーをテイクアウトして、ズルズル飲みながら、Mott
Streetを歩きました。いつもは冷やかしで終わってしまう中華街散策の今日の目的は、食材!
1ポンド(=約450g)で100ドル以上という立派な乾燥フカヒレや、安くていいんだけれども、使いきれないほど詰められたどんこや貝柱などの乾物を扱うお店を通り過ぎて行き着いたのがこちらのお店。「金國食品公司」というスーパーマーケットでした。場所的には、ちょうど「味千ラーメン」の向かいくらい。お店のショーウィンドウには、浮世絵風ののれん(?)をバックに日本の入浴剤やシャンプーが飾ってあって、あやしげな感じ。中華食材はもちろん、日本のものもあるらしいと中に入ってみました。
友人たちは、漢字と英語の表記を見比べながら、あれこれ吟味して中華調味料などをお買い上げ。美味しいものは家よりも外で食べる方が好き!な私は、買い物はしなかったものの、なにやら面白いものが見つかりそうなこのスーパーの中をすっかり探索してみました。そして、見つけたのがこちらの2つ。まず、向かって右は、そうめんやうどん、そばなどのおなじみの日本の乾麺。でも、KIKKOMANじゃあなくて、KIKKOKINって????値段も、日系スーパーで売っているものに比べると格安なのでした。そして、左は、その名も「麺大師」というインスタントラーメン。上の袋は、札幌味噌拉麺で、下は九州地獄拉麺という味らしい。それにしても、ラーメン屋のおやじをイメージした絵の右上にある日式風味って何???最近、日本のお菓子をパクった中国製や韓国製のお菓子が、同じMott
Streetにある「優の食品」というお店でたくさん見られるのですけれど、他の食品も同様だったんですね。勉強になりました。
さらに、こうなったら、アジア食材の買い物のハシゴをしちゃえ!ということで、地下鉄に乗って出かけたのが、ワールドカップ以来、ちょっと注目のKoreantown。Macy'sやH
& Mなんかがある34th Streetのすぐ近く、32nd StreetのBroadwayと5th
Avenueの間の通りです。中華街に比べれば、規模はずーっと小さいですが、あたり一面ハングルだらけの世界は、それはそれで、また、異国情緒あふれる不思議な場所です。ここで大きな食品店といえば、New
Jerseyに韓国版のヤオハンともいえるような大きな店舗がある「Han Ah Rean
Market」。店内には、ぎっしりと食品が積んであるので、通路が異様に狭くて、細めのアジア人同士でもすれ違うのが大変なくらい。ここにもお菓子をはじめ、調味料など、日本食材各種が置いてありますが、中華街同様、日本のお菓子を真似たものもたくさん。ただし、日本でも大手のお菓子メーカーロッテは、もともと韓国の財閥ですから、値段は安いけれど、きっと味は同じようなのでしょうね。このお店の店頭には、韓国語の情報誌とともに、日系の無料情報誌「ジャピオン」が置いてあるので、日本人のお客さんも結構来ていることがうかがえます。
わが家では、ここのスーパーで、必ず買うものがひとつだけあって、それは、激辛のスープの素。Tofu Broth
Seasoningという文字以外はハングルなので、商品名は??ですが、要は、写真のように野菜や豆腐、卵なんかを入れて作る韓国風の鍋用のスープの粉末です。New
Jerseyのお店の常連だった友だちに教えてもらいました。一応、作り方は、裏に英語で併記してありますが、味を見て適当に加減しながら、いろいろな野菜や肉を入れて煮込むと美味しいです。ひとり分の袋が3袋入って$1.49は格安。Seafood、Spicy、Mushroomなど、何種類かのフレーバーがあるのでお好みで。どれもキムチ風味でかなり辛いので、野菜や肉はたっぷり入れると食べやすくなります。
日本だと、7月の中旬くらいに梅雨明けし、下旬になってようやく学校が夏休みに入り、夏本番は8月!という感じだと思いますが、New
Yorkは、梅雨がない分、夏に入るのが早く、そして、終わるのも早いような気がします。今週あたり、先週の蒸し暑さはだいぶおさまって、日中でも日陰で風が吹けば、かなり心地よい過ごしやすさでした。ただ、時折やって来る激しい雷雨には要注意。特に雷は本気で発生するので、あの音や稲光が苦手な人には辛いかも。
で、スケートリンクの横を通り過ぎて、タワーのすぐ近くまで行ってみると、その足元には、銀色の車がズラリ。クラシックカーみたいなのが多いのですが、とにかく、全部、銀色一色に塗られています。韓国出身のNam June Paikというアーティストの手によるこの作品は、『Transmission』という題名で、過ぎ去った20世紀への思いを込めたもの。車はすべて20世紀に作られたもので、近づくと、モーツァルトのレクイエム(鎮魂歌)が中から聞こえてくる仕掛けになっているというのがちょっと変わっているところです。これは、20世紀という時代を象徴する、華々しくデビューし、最盛期を迎え、そして衰退してしまった、アメリカの自動車産業へ贈る鎮魂歌ということなのだそう。この題名は、車のトランスミッションと、同じく、20世紀を象徴するといえる、テレビやラジオの放送や伝達を意味する言葉としての「transmission」を掛けたもので、多分、タワーはテレビ塔かなにかを意味しているのではないかと思います。夜は、てっぺんからレーザー光線が発せられるので、また、ちょっと違う雰囲気になります。展示期間は、夏が終わるLabor
Day、9月2日迄。
それから、夏のこの時期、結構おすすめなのが、スケートリンクのところにオープンエアのテーブルを出しているレストランでの食事。五番街から向かって右側の方にあるRock Center
Cafeは、普通のアメリカン料理のお店ですが、以前よりちょっとボリュームが減って食べやすくなりました。夏でも、スケートリンクの地面からは冷気が出ているのだそうで、外がかなり蒸し暑いときでもちょっと涼しくて気持ちよいです。昼が長い今ごろは、8時くらいまで明るいので、遅めのディナーでないと雰囲気が出ませんが、ライトアップされた黄金の像や、見上げる形になるタワーのアートのすぐ近くで食事していると、New
Yorkのど真ん中にいることが実感できて、なかなか気分がよいです。料理は特別美味しいというほどではありませんが、観光客慣れしているので、少なめにとって分けたりしても大丈夫。たいてい予約なしで入れるので、気軽に都会らしいディナーするには悪くないところです。ちょっと気取って出かけるディナーではなく、でも、テイクアウトや中華じゃあちょっと・・・というくらいのときにお試しください。リンクの逆側は、ちょっと高級なシーフードレストランSea
Grill(Tel.212-332-7610)で、こちらは予約をおすすめ。また、中央の部分は、バーになっていて、夕方は6時くらいから、会社帰りのNew
Yorkerたちで大混雑します。飲み物だけならこちらでもOK。
7月に入ってから、しばらく続いた日本からのお客さんが去り、ほっと一息ついたところ。先週あたりは、また、かなり蒸し暑かったので、出歩くのも大変でした。それにしても、やっぱり、観光って、気力と体力が要りますよね。さらに、週末には、お誘いを受けて、炎天下の中、New York
Yankeesのデーゲームを観戦。夏を満喫してはいますが、正直、そろそろ休養が必要になってきたみたい・・・ということで、夏のスタミナ源といえば、やっぱり、うなぎ!New
York在住の日本人が楽しみにしている、土用の丑の日、特別イベントに参加して参りました。以前もご紹介したことのある、ミッドタウンの関西割烹「竹生(12 E 44th St.
Tel.212-818-0715)」のスペシャル・ランチです。今年は、土用の丑の日が週末だったため、22日の月曜日に実施。事前に日系情報誌で情報を仕入れていた私たちは、ランチ開始の11時半少し前にお店に到着しました。そうしたら、すでにかなりの列・・・お店が開いたら、きっとどんどん進むに違いないから、まあしょうがないだろうと、列に加わりました。
開店以来続けているという、この夏恒例のイベント。お店の前に、「今年は○月○日実施します」という張り紙が出されるので、それを見て日にちを知る人がほとんどでした。今年は、縦書きの日本語の張り紙の横に、英語のと、ローカル紙New York
Postの切り抜きが。確かに、毎年、この時期になると、いつもは静かな通りに、東洋人ばかりの長蛇の行列が出来るという異様な光景を、ランチ時のビジネスマンたちが不思議そうに眺めているのです。今年も、黒人のお兄さんがひょいっと寄って来て、「ねえ、ここのレストランって、そんなに美味しいの?」と聞いて来たから、「今日は特別のランチがサービスされるんだよ。」といったら、「ここって、すっごく高いレストランでしょ?」と、それなりに知っているようだったので、「今日だけは5ドル以下なんだよー。」と答えたら、「ワアオ!」とわかりやすいリアクションをしてうなずきながら去って行きました。新聞の切り抜きが張られたからでしょうか、私たちの後ろに並んでいたのは、アメリカ人ばかりで4人のグループだったし、今までよりも、日本人以外の人たちがいたような気がしました。
かれこれ1時間近く待った12時過ぎ、ようやくテーブルに着くことができました!この日は、スペシャル・ランチのみなので、全員が同じメニュー。席に着くとまもなく、お膳が運ばれてきます。うな重・お吸い物・香の物・ビール小瓶1本で、ひとり$3.55(税、サービス料込みで$4.5)というのは、本当におトクですよね。待ったかいがあるというものです。こちらでも、うなぎはレトルトパックが手に入るので、全然食べられないわけではありませんが、やっぱり、皮がぱりっと焼けた作りたての味は違います。うなぎ自体は、やや小ぶりでしたが、美味しくいただきました。ビールで喉を潤し、せかされるようにうな重をかき込んで、待ち時間に対して、食べた時間はとっても短かったのは、まあしかたないしょう。
蒸し暑かった独立記念日の後、しばらく暑さは収まっていたのですが、今週に入ってまたぶり返し、外歩きにはちょっと厳しいお天気が続いています。ただ今、日本から来ている友人たちと観光三昧の日々なのですが、こんなときは、やっぱり室内のエンターテイメントに限ります!ということで、夜はミュージカル、そして、昼間は美術館。ちょうど、Metropolitan Museum of
Artでは、6月中旬くらいから、相次いで夏の特別展示が始まっているので、常設店以外にも見どころ満載!それらをご紹介してみます。


19世紀ヨーロッパ絵画の展示室へと向かう途中、細長い通路のようなところから入る展示室では、『New York, New York : Photographs from the
Collection』を開催中。メトロポリタンが所蔵しているNew
Yorkの写真の展示です。風景やビルなどを写したもの、人物を写したもの、また、お店の中などを写したものなど、対象は様々で、撮影された年代は、だいたい、1800年代の終わりから、1900年代。レトロな車やファッションなどは、時代を象徴していて興味深いし、住所や特徴ある建物などを見つけ、今の風景と比べてみるのもなかなか面白いです。個人的に注目してしまったのは、1920年代くらいから街中に高層ビルが建っていること。そして、それらのほとんどが、今もこの街の摩天楼を構成しているというのは、なかなかすごいことのように思います。日本と違って、ここは地震がまずないから、昔の建物がそのまま残っているといえばそれまでなのでしょうけれど、その頃から、今でもそんなに見劣りしないようなモダンなデザインの高層建築を作っていたというのも、大国アメリカたるゆえんの一部なのでしょうね。8月25日迄。
c 2002
kyoko_isaka@msn.com
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