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in New York

July, 2002 

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●夏のメトロポリタン美術館
●土用の丑の日
●夏のロックフェラーセンター
●アジアな食材のお買い物
●9/11を偲ぶ場所
続き(7月前半の話題)を見る・・・

- 7月31日(水) 9/11を偲ぶ場所
- 7月も今日で終わり。明日から8月で、もう夏も半分以上終わってしまったような気がします。6月下旬から始まっていた夏物のセールもほとんど終わりつつあり、セール品は隅に押しやられ、秋冬物にメインスペースを譲ってしまったお店も少なくありません。こうなってくると、そろそろ、目新しいものに目が行ってしまうので、夏物は買えなくなってしまいますね。
さて、とはいっても、まだまだ夏休みで家族連れや学生さんの観光客がうじゃうじゃいるNew
Yorkの街。日本でもお盆休みなど、本格的な夏休みはこれからという方も多いかと思います。最近、日本から来た友人などを案内していて、Ground
Zeroの現場以外で、あのテロ事件を直接的に連想させるものがとても少なくなったことに気づきました。でも、今でも、いくつかの事件を偲ぶ場所が残っています。それを少しご紹介していみます。最初は、Times
Squareからも近い、8th AvenueにあるStatue of
Firefighter(消防士の像)。これは、もともとどこか違う都市に置かれるものだったらしいのですが、あの事件の後、New
Yorkにある方がふさわしいからという理由で、とりあえず、道路の脇に置かれました。片隅とはいっても、普通の通りにデンと置いてあるので、あくまで一時的なものだったはずでしたが、1年近く、このままにしてあります。事件直後は、この像の周りに花やロウソクなどのお供え物が絶えませんでしたが、さすがに最近は少なくなりました。場所は、8th
Avenueの45th Street、ちょうどMilford Plaza Hotelの前です。

それから、こちらは、観光ではたいてい訪れるSOHOでずっと開催されているHere is New
Yorkという展示。9/11に関連した写真を展示していて、気に入った写真があれば、$25で買うことができます。そして、その収入は、犠牲者の家族らへの基金に回るというしくみ。この写真展のことは、ニュースで見て知っていたのですが、冬の頃、SOHOに行ったとき、こことは知らず、なにげなく入ってしまい、辛くて出てきてしまったことがあります。多分、ちゃんと気構えていれば大丈夫だったのですけれど、いきなり、テロ関連の映像を見ると、やはり、まだちょっと心理的に動揺してしまう時期だったからだと思います。今は、だいぶよくなりましたけれど、それでも、ここの写真は素人の人たちが撮ったものも多く、そのなにげなさが私にはちょっと刺激が強かったりもするので、人をここに連れてくるときは、いつも外で待っているようにしています。場所はSOHOのど真ん中、Prince
Streetの南側、Greene StreetとWooster Streetの間で、開放時間は、水曜日から日曜日までの11:00am 〜
6:00pm。ギャラリーは隣り合って2ヶ所あります。入場無料。詳細は、http://www.hereisnewyork.orgでご確認ください。
そして、これは、New
Yorkを訪れた方なら、たいていご覧になったでしょう、Grand Central
Terminalにある、行方不明者用の掲示板。写真は、まだ寒い時期のものですが、多くのビラやボードが撤去されてしまった今も、この掲示板だけは残されたままになっています。決してはがされることのない、亡くなってしまった方々の写真やそれを必死に探していた家族のメッセージの上に、ここを訪れた人たちの宗教的な慰めの言葉や、平和を願う気持ちなどを書いた新しいビラや書き込みが重ねられています。一時は、街中の至るところに同じようなビラがたくさん貼ってありました。事件から、半年を経過した今年の3月に、ほとんどの場所が片付けられ、喪に服すことからの脱却を図る動きが見られましたが、ここだけは、残すことに決めたようです。数は少なくなりましたが、Memorial
DayやIndependence Dayのような記念日には、花束やロウソクなどが供えられたりします。
その他の場所では、今月前半にもご紹介した、3月11日の半年記念の時からBattery
Parkに展示されている、あちこちがへこんだSphereという銅像。これくらいが、今なお残る9/11を物語るものや場所ではないかと思います。私自身、わざわざ、あの事件を思い出すためにこれらを見に行くということはありませんが、New
Yorkに旅行でいらっしゃったりすると、なにか、あの事件にちなんだものを見てみたいと思う方も多いようなので、あえてご紹介してみました。
最後に、実は、9/11以来変わったままのものといえば、Empire State
Buildingのライトアップがそうなのです。記念日などで七変化する、このライトアップの色は、以前は、何もないときの色は白1色でした。でも、今は、基本色が赤白青の3色なのです。クリスマスやハロウィン、イースターなど、季節の行事のたびに色は変わりますが、そうでないといつもこの色。事件後、一時明かりを消していた時期がありましたが、復活してからは、ほとんどの日がこのアメリカ国旗にも使われているPrimary
Colorsに輝いています。もしかしたら、もう、ずっと元の白いライトアップを見ることはないのかもしれませんね。
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- 7月29日(月) アジアな食材のお買い物
週末は終始曇り空だったものの、気温があまり上がらなくて、比較的過ごしやすいお天気でした。これで夏もそろそろ終わり?と思いきや、今週は、また、90°(32℃)以上の日々がやってくるようで、まだまた、夏は健在のようです。
さて、その活動しやすかった週末、友人夫婦とちょっと面白い買い物行脚(!?)をしてきました。まず最初はChinatownへ。年々拡大傾向にあるNew
Yorkの中華街は、訪れた方ならご存じの通り、漢字のあふれる「ここはどこ?」と疑いたくなるようなエリア。世界のMcDonald'sだって、ここでは漢字表記。看板の上の行、「麥富労」みたいな字が「マクドナルド」と読むみたいです。最近、メインストリートのCanal Street沿いには、Starbucksもオープンしましたが、期待した「星○」とかいう看板は掲げられず、英語の表記のみでした。
いつもの定番コース、お気に入りの「老飯店」(お気に入りレストラン参照)で、たらふく食べた後、「仙跡岩
Saint's Alp Teahouse」(こちらもお気に入りレストラン参照)で、タピオカ入りのミルクティーをテイクアウトして、ズルズル飲みながら、Mott
Streetを歩きました。いつもは冷やかしで終わってしまう中華街散策の今日の目的は、食材!
1ポンド(=約450g)で100ドル以上という立派な乾燥フカヒレや、安くていいんだけれども、使いきれないほど詰められたどんこや貝柱などの乾物を扱うお店を通り過ぎて行き着いたのがこちらのお店。「金國食品公司」というスーパーマーケットでした。場所的には、ちょうど「味千ラーメン」の向かいくらい。お店のショーウィンドウには、浮世絵風ののれん(?)をバックに日本の入浴剤やシャンプーが飾ってあって、あやしげな感じ。中華食材はもちろん、日本のものもあるらしいと中に入ってみました。

友人たちは、漢字と英語の表記を見比べながら、あれこれ吟味して中華調味料などをお買い上げ。美味しいものは家よりも外で食べる方が好き!な私は、買い物はしなかったものの、なにやら面白いものが見つかりそうなこのスーパーの中をすっかり探索してみました。そして、見つけたのがこちらの2つ。まず、向かって右は、そうめんやうどん、そばなどのおなじみの日本の乾麺。でも、KIKKOMANじゃあなくて、KIKKOKINって????値段も、日系スーパーで売っているものに比べると格安なのでした。そして、左は、その名も「麺大師」というインスタントラーメン。上の袋は、札幌味噌拉麺で、下は九州地獄拉麺という味らしい。それにしても、ラーメン屋のおやじをイメージした絵の右上にある日式風味って何???最近、日本のお菓子をパクった中国製や韓国製のお菓子が、同じMott
Streetにある「優の食品」というお店でたくさん見られるのですけれど、他の食品も同様だったんですね。勉強になりました。
さらに、こうなったら、アジア食材の買い物のハシゴをしちゃえ!ということで、地下鉄に乗って出かけたのが、ワールドカップ以来、ちょっと注目のKoreantown。Macy'sやH
& Mなんかがある34th Streetのすぐ近く、32nd StreetのBroadwayと5th
Avenueの間の通りです。中華街に比べれば、規模はずーっと小さいですが、あたり一面ハングルだらけの世界は、それはそれで、また、異国情緒あふれる不思議な場所です。ここで大きな食品店といえば、New
Jerseyに韓国版のヤオハンともいえるような大きな店舗がある「Han Ah Rean
Market」。店内には、ぎっしりと食品が積んであるので、通路が異様に狭くて、細めのアジア人同士でもすれ違うのが大変なくらい。ここにもお菓子をはじめ、調味料など、日本食材各種が置いてありますが、中華街同様、日本のお菓子を真似たものもたくさん。ただし、日本でも大手のお菓子メーカーロッテは、もともと韓国の財閥ですから、値段は安いけれど、きっと味は同じようなのでしょうね。このお店の店頭には、韓国語の情報誌とともに、日系の無料情報誌「ジャピオン」が置いてあるので、日本人のお客さんも結構来ていることがうかがえます。
わが家では、ここのスーパーで、必ず買うものがひとつだけあって、それは、激辛のスープの素。Tofu Broth
Seasoningという文字以外はハングルなので、商品名は??ですが、要は、写真のように野菜や豆腐、卵なんかを入れて作る韓国風の鍋用のスープの粉末です。New
Jerseyのお店の常連だった友だちに教えてもらいました。一応、作り方は、裏に英語で併記してありますが、味を見て適当に加減しながら、いろいろな野菜や肉を入れて煮込むと美味しいです。ひとり分の袋が3袋入って$1.49は格安。Seafood、Spicy、Mushroomなど、何種類かのフレーバーがあるのでお好みで。どれもキムチ風味でかなり辛いので、野菜や肉はたっぷり入れると食べやすくなります。
ChinatownにKoreantown、どちらもリーズナブルで美味しいレストランがいくつもあって、食事に寄ることは多いところですが、食料品店には、それぞれの国の本格的な食材が揃っていて、興味深いものがたくさんあることを再認識しました。料理する方は、かなり本格的な味にチャレンジすることも可能なのでは?
日本の食料品もいろいろありますが、格安な反面、賞味期限がかなり前に切れていたりするものも多いようなので、そのあたりはよくチェックしてからお買い求めになることをおすすめします。それから、日式食品の数々については、個人的には試したことがありませんので、味はどうなのかよくわかりません・・・
この買い物デーの夕食は、もちろんKoreantownで、韓国式豆腐鍋やお好み焼き、ビビンバなどを「Seoul
Garden」(お気に入りレストラン参照)で楽しみ、アジアなNew
Yorkの1日を締めくくったのでした。
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- 7月25日(木) 夏のロックフェラーセンター
日本だと、7月の中旬くらいに梅雨明けし、下旬になってようやく学校が夏休みに入り、夏本番は8月!という感じだと思いますが、New
Yorkは、梅雨がない分、夏に入るのが早く、そして、終わるのも早いような気がします。今週あたり、先週の蒸し暑さはだいぶおさまって、日中でも日陰で風が吹けば、かなり心地よい過ごしやすさでした。ただ、時折やって来る激しい雷雨には要注意。特に雷は本気で発生するので、あの音や稲光が苦手な人には辛いかも。
さて、先週までの観光ウィーク(!)で、必ず行っていたのは、五番街のど真ん中にあるRockefeller
Centerでした。ここ数年、夏の間に展示される大規模な屋外アート、今年は、プロムナード越しに遠くからも見える東京タワーみたいな鉄塔がそのメインです。日の光が強い日中はわかりにくいのですが、よく見るとこのタワー、渡されている鉄骨がいろいろな色の光を放っていたりします。
で、スケートリンクの横を通り過ぎて、タワーのすぐ近くまで行ってみると、その足元には、銀色の車がズラリ。クラシックカーみたいなのが多いのですが、とにかく、全部、銀色一色に塗られています。韓国出身のNam June Paikというアーティストの手によるこの作品は、『Transmission』という題名で、過ぎ去った20世紀への思いを込めたもの。車はすべて20世紀に作られたもので、近づくと、モーツァルトのレクイエム(鎮魂歌)が中から聞こえてくる仕掛けになっているというのがちょっと変わっているところです。これは、20世紀という時代を象徴する、華々しくデビューし、最盛期を迎え、そして衰退してしまった、アメリカの自動車産業へ贈る鎮魂歌ということなのだそう。この題名は、車のトランスミッションと、同じく、20世紀を象徴するといえる、テレビやラジオの放送や伝達を意味する言葉としての「transmission」を掛けたもので、多分、タワーはテレビ塔かなにかを意味しているのではないかと思います。夜は、てっぺんからレーザー光線が発せられるので、また、ちょっと違う雰囲気になります。展示期間は、夏が終わるLabor
Day、9月2日迄。
それから、夏のこの時期、結構おすすめなのが、スケートリンクのところにオープンエアのテーブルを出しているレストランでの食事。五番街から向かって右側の方にあるRock Center
Cafeは、普通のアメリカン料理のお店ですが、以前よりちょっとボリュームが減って食べやすくなりました。夏でも、スケートリンクの地面からは冷気が出ているのだそうで、外がかなり蒸し暑いときでもちょっと涼しくて気持ちよいです。昼が長い今ごろは、8時くらいまで明るいので、遅めのディナーでないと雰囲気が出ませんが、ライトアップされた黄金の像や、見上げる形になるタワーのアートのすぐ近くで食事していると、New
Yorkのど真ん中にいることが実感できて、なかなか気分がよいです。料理は特別美味しいというほどではありませんが、観光客慣れしているので、少なめにとって分けたりしても大丈夫。たいてい予約なしで入れるので、気軽に都会らしいディナーするには悪くないところです。ちょっと気取って出かけるディナーではなく、でも、テイクアウトや中華じゃあちょっと・・・というくらいのときにお試しください。リンクの逆側は、ちょっと高級なシーフードレストランSea
Grill(Tel.212-332-7610)で、こちらは予約をおすすめ。また、中央の部分は、バーになっていて、夕方は6時くらいから、会社帰りのNew
Yorkerたちで大混雑します。飲み物だけならこちらでもOK。
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- 7月23日(火) 土用の丑の日
7月に入ってから、しばらく続いた日本からのお客さんが去り、ほっと一息ついたところ。先週あたりは、また、かなり蒸し暑かったので、出歩くのも大変でした。それにしても、やっぱり、観光って、気力と体力が要りますよね。さらに、週末には、お誘いを受けて、炎天下の中、New York
Yankeesのデーゲームを観戦。夏を満喫してはいますが、正直、そろそろ休養が必要になってきたみたい・・・ということで、夏のスタミナ源といえば、やっぱり、うなぎ!New
York在住の日本人が楽しみにしている、土用の丑の日、特別イベントに参加して参りました。以前もご紹介したことのある、ミッドタウンの関西割烹「竹生(12 E 44th St.
Tel.212-818-0715)」のスペシャル・ランチです。今年は、土用の丑の日が週末だったため、22日の月曜日に実施。事前に日系情報誌で情報を仕入れていた私たちは、ランチ開始の11時半少し前にお店に到着しました。そうしたら、すでにかなりの列・・・お店が開いたら、きっとどんどん進むに違いないから、まあしょうがないだろうと、列に加わりました。
開店以来続けているという、この夏恒例のイベント。お店の前に、「今年は○月○日実施します」という張り紙が出されるので、それを見て日にちを知る人がほとんどでした。今年は、縦書きの日本語の張り紙の横に、英語のと、ローカル紙New York
Postの切り抜きが。確かに、毎年、この時期になると、いつもは静かな通りに、東洋人ばかりの長蛇の行列が出来るという異様な光景を、ランチ時のビジネスマンたちが不思議そうに眺めているのです。今年も、黒人のお兄さんがひょいっと寄って来て、「ねえ、ここのレストランって、そんなに美味しいの?」と聞いて来たから、「今日は特別のランチがサービスされるんだよ。」といったら、「ここって、すっごく高いレストランでしょ?」と、それなりに知っているようだったので、「今日だけは5ドル以下なんだよー。」と答えたら、「ワアオ!」とわかりやすいリアクションをしてうなずきながら去って行きました。新聞の切り抜きが張られたからでしょうか、私たちの後ろに並んでいたのは、アメリカ人ばかりで4人のグループだったし、今までよりも、日本人以外の人たちがいたような気がしました。
かれこれ1時間近く待った12時過ぎ、ようやくテーブルに着くことができました!この日は、スペシャル・ランチのみなので、全員が同じメニュー。席に着くとまもなく、お膳が運ばれてきます。うな重・お吸い物・香の物・ビール小瓶1本で、ひとり$3.55(税、サービス料込みで$4.5)というのは、本当におトクですよね。待ったかいがあるというものです。こちらでも、うなぎはレトルトパックが手に入るので、全然食べられないわけではありませんが、やっぱり、皮がぱりっと焼けた作りたての味は違います。うなぎ自体は、やや小ぶりでしたが、美味しくいただきました。ビールで喉を潤し、せかされるようにうな重をかき込んで、待ち時間に対して、食べた時間はとっても短かったのは、まあしかたないしょう。
アメリカ人に人気の寿司でも、あなごの代わりにうなぎをネタに使うのがポピュラーなので、以前よりも、うなぎの食材としての知名度は上がっていると思われます。和食好きの多いNew
Yorkでは特に。これから、この行列にアメリカ人も加わるようになったりしたら、ますます大変なことになってしまいますね。New
Yorkerって、気短そうに見えて、意外と行列するのが好きなのも気になるところ。なんだか、この特別なイベントは、日本人だけで独占しておきたいなーと思ってしまう私でした。
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- 7月18日(木) 夏のメトロポリタン美術館
蒸し暑かった独立記念日の後、しばらく暑さは収まっていたのですが、今週に入ってまたぶり返し、外歩きにはちょっと厳しいお天気が続いています。ただ今、日本から来ている友人たちと観光三昧の日々なのですが、こんなときは、やっぱり室内のエンターテイメントに限ります!ということで、夜はミュージカル、そして、昼間は美術館。ちょうど、Metropolitan Museum of
Artでは、6月中旬くらいから、相次いで夏の特別展示が始まっているので、常設店以外にも見どころ満載!それらをご紹介してみます。
まずなんといっても、これ目当てで訪れる人が多いのが、美術館正面にポスターが下げられている『Gaugin in New York Collection : The Lure of the
Exotic』。鮮やかな色彩のタヒチでの絵が有名なゴーギャンの特別展です。メトロポリタンが有するゴーギャンの作品を、全て展示するのは、これが初めてなのだとか。その他、先日、Queensに移転してオープンしたModern Museum of Art所蔵、個人コレクションの作品なども加え、New
Yorkにある120点ものゴーギャンを一堂に集めてしまいました。タヒチの女性を描いた代表作はもちろん、彫刻や陶器、素描画など、普段あんまりお目にかかれない珍しい作品もたくさん展示されています。
多分、展示数が多いからだと思われますが、会場は、通常のヨーロッパ絵画などがあるフロアではなくて、正面入口から入ると、中世美術のさらに奥手にある、The
Robert Lehman
Collectionのウイングになっています。階段を下りると、植物やベンチが置かれたアトリウムを囲むように展示室が続いており、平日でも大勢の人々が熱心に鑑賞しています。ゴーギャンは、一時同居したこともあるというゴッホ同様、特別に絵の教育を受けた人ではなく、普通の勤め人から画家に転進したので、当時の伝統的な絵の技法に染まらず、独自の表現方法で数々の作品を描きました。エキゾチックで明るい南国のモチーフに加え、その自由でのびのびした型にはまらない雰囲気が、ことさら自由を望むアメリカ人には受けがいいようです。ゴーギャンが好きな方なら必見、特別好きでもなくても、見たことのあるような絵が勢ぞろいなので、見ておいて損はない特別展だと思います。10月20日迄。
そして、ほとんどの人が訪れる2階のヨーロッパ絵画の奥の展示室で開催されている特別展は、『The Age of Impressionism : European Painting from the Ordrupgaard
Collection,
Copenhagen』、デンマークの個人蒐集家が集めた印象派絵画を中心とした作品の展示です。展示数は80点ほどで、大作はあまりありませんが、さすが、ヨーロッパの蒐集家だけあって、有名な画家の作品が揃っています。ゴーギャンはここにもありますし、ドガのパステル画がたくさんあったり、やや小ぶりの作品が多かったり、美術館とはちょっと違うタイプの作品が多いかもしれません。1代でこれだけ集めたビジネスマンの蒐集家が亡くなった後、それを受け継いだ奥さんが、遺言でこれらのコレクションを全てデンマーク政府に寄付したのだそうです。アメリカもその手の寄付で美術館のコレクションが構成されていることが多いですが、ヨーロッパでもそういうことがあるのですね。こちらは、9月8日迄。
19世紀ヨーロッパ絵画の展示室へと向かう途中、細長い通路のようなところから入る展示室では、『New York, New York : Photographs from the
Collection』を開催中。メトロポリタンが所蔵しているNew
Yorkの写真の展示です。風景やビルなどを写したもの、人物を写したもの、また、お店の中などを写したものなど、対象は様々で、撮影された年代は、だいたい、1800年代の終わりから、1900年代。レトロな車やファッションなどは、時代を象徴していて興味深いし、住所や特徴ある建物などを見つけ、今の風景と比べてみるのもなかなか面白いです。個人的に注目してしまったのは、1920年代くらいから街中に高層ビルが建っていること。そして、それらのほとんどが、今もこの街の摩天楼を構成しているというのは、なかなかすごいことのように思います。日本と違って、ここは地震がまずないから、昔の建物がそのまま残っているといえばそれまでなのでしょうけれど、その頃から、今でもそんなに見劣りしないようなモダンなデザインの高層建築を作っていたというのも、大国アメリカたるゆえんの一部なのでしょうね。8月25日迄。
最後は、日本ではあんまりなじみのない、アメリカの画家の特別展『Thomas
Eakins』。こちらは、正面階段を上がってすぐの19世紀以前のヨーロッパ絵画の展示室の一部で開催されています。エイキンスという人は、Philadelphiaにあるアメリカでは有数の絵画学校で教鞭を取ったこともある、卓越した技術を持った画家といわれています。その絵の精密さはまるで写真のようですが、実際に、彼は写真家としても活動していたそうで、写真とそれを模したソックリな絵が並べて展示してあったりもします。野球やボートといったスポーツのシーンや、医学校での公開手術のシーンなど、なんだか報道写真みたいな絵も多いのが特徴。自分で好きなものをただ漫然と描くというより、その絵の上手さゆえ、誰かに依頼されて、肖像画や特定の場面を描いたことが多かったということがうかがえます。そういう意味では、ちょうどゴーギャンとは逆のタイプの画家といえるかもしれませんね。9月15日迄。
この他にも、私たちはあいにくお天気が悪くて上がれなかった屋上の庭園でも、大きなオブジェが置かれた『Oldenburg and van Bruggenon the
Roof』を11月初旬まで展示中。印象派などの展示室にも、夏の間だけ賃借してくる『The
Annenberg Collection of Impressionist and Postimpressionist
Masterpieces』が展示されていますし、見逃せないものがたくさん。ぜひ、ゆっくり時間をとって、今ならではの美術品をじっくりご鑑賞ください。尚、ここも例にもれず室内の冷房はかなり効いています。冷房に弱い方は、何か羽織るものをお忘れなく。また、館内警備強化のため、入口で持ち物をチェックされ、リュックサックなど大きめの荷物はクロークに預けるよう指示されます。クロークは週末や時間帯によっては混雑することも多いので、できれば、少なめの荷物でお出かけくださいね。開館時間等、メトロポリタン美術館についての詳細は、http://www.metmuseum.orgで。
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