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YellowCabHarlem Walking TourTeddyBear

こちらに住むようになってから、ほとんどの場所には行ったことがありましたが、やっぱりなかなか訪れることがないのがハーレム。低所得者の黒人が多くて危険なところ・・・というイメージは、まだ根強く残っています。今回は、地元の方が案内してくれるウォーキング・ツアーに参加し、再復興しようとしている一味違うハーレムを見て来ました。

NealShoemaker今回私たちを誘ってくれた英語の先生のJoyceと、同じクラスの真由美さんとともに地下鉄2番に乗って、ツアーの集合場所である116th Streetの駅に集合時間の10:30よりかなり前に到着。今回、ツアーガイドを務めてくれるNeal Shoemakerさんが白いビニール傘をさしているのが目印とのこと、しばらくしたら、大きなビニールバッグを持った青年が駅の一角でパッと傘を開きました。とたんに、近辺にいたカメラを下げた人たちが彼のまわりに集まって来ました。このお茶目な合図は、確かにかなり目立つのでいいアイディアでした。自己紹介してくれたNealは、元銀行員でここハーレムで生まれ育った生粋の地元っ子です。今回の参加者は、ヨーロッパから来た観光客と、New Yorkに住んではいるけれどあまりハーレムのことを知らないから参加したという私たちのような人たちとの計15名。まずは、ハーレムの名物でもある、日曜日の教会でのミサに参加するため、近くのMemorial Baptist Churchに向かいました。

MemorialBaptistChurchハーレムを訪れる人々のほとんどがこれが目的という、日曜日の教会でのゴスペルは、今ではすっかり商業化していて、観光客を入れている教会はたくさんあります。今回のMemorial Baptist Churchは、去年、夫の両親が来たときに参加したゴスペル・ツアーで訪れた教会よりはかなり小さくて、ビルの一部のような教会でした。それでも、いくつかの観光用らしき小型バスが止まっていて、次々と人々が中に吸い込まれて行きました。
1935年に建てられたこの教会は、70年代後半から今も中心となっているRev. Dr. Preston R. Washington Sr.を中心として、子供の教育や、HIV感染者への援助、ハーレムにもたくさんいる片親の家庭への援助などの活動を始めました。ミサを公開することによる観光収入も、それらの資金集めの一環ということになります。ちなみに、Rev.はReverend(牧師)の略で、アメリカでは、政治家も含めて黒人のリーダーでこの略称が付く人がすごく多いです。つまり、彼らにとって、教会というのは宗教という枠を越え、いろいろな意味での心のよりどころになっているようです。ChurchInside
奥へ奥へと進まされ、そんなに広くないスペースの座席がほぼ一杯になったところで、落ち着いて教会の中を見渡すと、なかなか涼しげな色合いできれいなステンドグラスと、ずいぶん新しそうなパイプオルガンのパイプ、そして、びっくりしたのは、反対側にあった巨大スクリーンでした。真中にある壇上で、お説教が行われるのですが、よく見えない人のために、その様子を映し出すもののようです。後でわかったのですが、礼拝堂の外の通路にも立派なテレビスクリーンが2台設置されていました。ここって、かなりの寄付金が集まっているに違いありません。
そんなことに感心しているうちに、いつも通っている教会の信者であろう人たちがぞろぞろと入場して来て、ミサが始まりました。SingingGirls
最初はその今も中心となっている牧師さんではなくて、もう少し下っ端らしき女性の牧師さんが神をたたえ、皆でお祈りというか歌うのですが、かなり早い段階からハイテンションになっていました。祭壇の前に出たお姉さんたちが、歌い踊り始め、後方ではタンバリンを持った人まで登場しました。観客(礼拝者?)の一部も、早くも立ち上がり、歌い踊っています。手元にあった式次第に印刷されている皆で歌う歌は、ベートーベンの第九の合唱で有名な「歓びの歌」でした。
そのうち、立って手拍子をとる頻度が次第に増え、Rev. Dr. Preston R. Washington Dr.が登場すると、盛り上がりは最高潮に達します。彼の一声、一声に賛同を表す叫びが上がり、熱心な信者の中には涙を流している人も。男性のアカペラ・コーラスが入り、少し場が落ち着いたところで、観光客の一団は退場。それまでの間、1時間半くらいでしたが、ずっとテンションは高くキープされていました。
一緒のツアーに、イタリア人の女性がいて、彼女は、宗教にこういう商業主義を持ち込むのはどうかと思うと強い口調で言っていました。それと騒々し過ぎるとも。確かに、スクリーンとテレビはちょっと行き過ぎの印象を受けましたが、ミサに参加した私たちに握手を求めて来たおじさんや、楽しそうに歌い踊っている人たちの笑顔は、本当に楽しそうでした。どちらかというと 宗教=厳しいもの、戒律を守るもの のようなカトリックや、仏教などとはかなり違うのかもしれませんが、これもひとつの信仰の表し方なのかなーと思いました。そして、その様子を見たい人たちがいるのならば、それを商売にしてしまおうというのも、割と自然な考え方なのかなとも思えましたし。ただ、私たちが退場してからもまだまだ続くという、あのミサを毎日曜日にやるかと思うと、ちょっとヘビーではありますね・・・

BaptistChurchそんなことを考えながら教会を出て、Nealの案内でこの付近を歩き始めました。すぐ近くにあったこの立派な建物は、First Corinthian Baptist Churchという教会で、記憶が正しければ、ここがこの前、バスで同じようにゴスペルを聴きに来た教会のような気がします。ずいぶん大きくて、立派な建物ですが、ここは1910年代にもともとMovie Pietaという娯楽施設として建てられたものだそうです。ある時期、娯楽施設がなくなった後、取り壊されそうになったのですが、教会を中に作り、そのまま保存されたとのことです。ハーレムの中には、合わせて400以上の教会があり、これらの大規模なものばかりでなく、観光客を入れない本当に小さな地元の人のためだけの教会ももちろんたくさんあります。宗派もBaptistだけではなくて、Methosistやその他いろいろあるとのことでした。GrahamCourt
次に立ち寄ったのは、かなり大きくな石造りの立派な建物Graham Court。Newportで見た豪邸と同じような(豪邸めぐりの旅行記はこちらでどうぞ。)凝った形の鋳鉄で出来た門の内側には、花壇のある中庭が見えました。こちらは、19世紀の終わりから20世紀の始め頃、ハーレムに人々が移り住んできた最初の頃に作られた建物で、持ち主は、やはり当時New Yorkの大富豪であったAstor家でした。数ブロックにも渡る屋敷は、もちろん彼らだけの家でしたが、今はもちろんこんな大きな家を所有できる人がいるはずもなく、アパートになっています。
そもそも、最初マンハッタン島には、南の方にしか人が住んでいなかったというのは、West Village Walking Tourのところでも触れていますが、北への開発が進み始め、1904〜5年にかけて、高架鉄道と地下鉄が北まで伸びてきたことが、ハーレムに人が大量に流れ込む大きなきっかけになりました。それまでは、広い土地を求め、Astor家のような金持ちが屋敷を建てていた高級住宅地だったので、今でもその名残である凝った外壁の立派な建物が、ハーレムのあちこちに残っています。

MalcomXBlvd鉄道開通後にハーレムは黒人の街となっていくわけですが、黒人の指導者といえば、有名なのはMalcolm Xで、今回のガイドのNealも一番好きな人物のひとりだそうです。Denzel Washington主演の映画を見た方も多いのではないでしょうか。最初の集合場所であった116th Streetのあたりから125thにかけてのLenox Avenueは、その名を取ってMalcolm X Boulevardと呼ばれています。このあたりには、Malcolm Xゆかりの場所がいくつもあり、その代表的な建物がBlack Mosqueと呼ばれるイスラム教の礼拝堂。近くではわからないのですが、遠ざかって見るとビルの上に緑色のドームが乗っているのがわかります。BlackMosque
ある事件で逮捕、服役したMalcolm Xは、出所後、ハーレムのイスラム教指導者に教えを受け、やがてこのBlack Mosqueを管轄する立場になります。その頃は、イスラム教という枠には特にこだわらず、助けを必要とする人々には広く門戸を開いていました。頭の回転が良く、弁もたち、見た目も良かったMalcolm Xは、次第に黒人たちのリーダーとなり、国内、海外を遊説したりするようになります。その後、ケネディ暗殺事件後の不用意なコメントで、師と決別してしまい、やや過激な言動に出たりしていた彼は、1965年、何者かによる暗殺で39歳の短い生涯を閉じてしまうのです。
そして、その暗殺の起きた2日後、この建物も爆破され、ほとんどかなりの部分が破壊されてしまいました。最初は4階建てだったのが、爆破後は3階建てになってしまったのだそうです。それから、Mosqueの向かって左脇に狭い空き地があり、そこは、Malcolm Xらがよく集まっていたレストランの跡地になります。HarlemMarket
ここからちょっと歩いて行き、立ち寄ったのが、Malcolm Shabazz Harlem's Marketというちょっと不思議な雰囲気のショッピングモール。中には狭い店がいくつも軒を連ね、ハーレム土産を売っているのですが、やはり彼らの民族性を全面に出しているので、よくアフリカの人たちが着ているかなり派手な柄の服地や、木彫りのお面、像などを置いてある店がたくさんもありました。さすがに、ノリで買うにしてもちょっとためらわれるものが多く、まあまあだったのは、アフリカっぽいTシャツ、よく黒人の女性が三つ編みをいっぱいしてつけている小さなビーズなど。ハーレムの活性化の一環でできた場所のようですが、観光の中心からはちょっとはずれているようで、残念ながら活気はイマイチでした。

StMartinsChurch皆あまり買い物をせずに集合時間より前に戻って来てしまい、ツアーの最終地点、125th Streetの方に向かって北上して歩いて行きました。この間に通ったのが、118〜124th StreetにかけてのMount Morris Park Historic Districtで、ハーレムの歴史を物語る興味深い建物がいくつもありました。そのひとつSt. Martins Churchは、高い塔を持った荘厳な石壁の教会。これはカリブから来た人たちが、私たちが訪れたゴスペルを歌うようなにぎやかなミサではなく、自分たちが静かに祈るために作った英国風の教会です。つまり、一口に黒人といっても、アメリカの南部から来た人もいれば、カリブから来た人もいて、それぞれの習慣や宗教などは、異なるものだったのですね。JewishHouse
また、あちこちに見られるのが、一時期かなり住んでいたユダヤ系の人々の残した建物です。この家の入り口のドアの上のところには、ユダヤ教を象徴する「ダビデの星」が付いていますが、もちろん、今はユダヤ教の建物でもなんでもありません。他にも、大きなお城のような教会の建物の壁によく見るとやはりこの星が付いていたり、大きくてしっかりした建物は、彼らが去ってしまってもそのまま利用していることが多いそうです。
とはいっても、建物がしっかりしていても、入居者がなく、空家状態のビルが多いのも現状。大きくて立派なビルの窓が割れていたり、壁が落書きだらけなんていうところも結構ありました。これらは、持ち主がいなくなり市など公の機関が持っていて、そのまま放置してあるものなのだそうです。その一方で、大きなショベルカーが入っていたり、クレーンがつってある工事現場も見かけたので、ハーレム復興は、市や州などの行政機関ではなく、個人や企業の力に頼っているところが大きいとのことでした。

LenoxLounge最後に行ったのは、Lenox Loungeというかつてのジャズ・ラウンジ。1920〜30年代のHarlem Rennaissanceといわれた、ジャズを始めハーレムの文化芸術が再復興を迎えたころには、すごくはやっていて、多くの有名ジャズ・ミュージシャンが演奏したところでした。中にも入れてもらったのですが、ここをミュージックビデオの撮影に使ったMariah CarryJanet Jacksonの写真が飾ってありましたが、奥の演奏スペースは封鎖されていて、少し前にあった最後の演奏後、今はもう使用していないとのことでした。
1929年の大恐慌以降、40年くらいまでは、ハーレムはまともにそのあおりを受けて、貧困な黒人たちのスラムと化し、犯罪多発地域になってしまいます。Malcolm Xの出た60年代、そして70年代あたりからハーレムをなんとかしようという動きが少しずつ始まり、1990年代はいよいよ復興期に入ったと思うとNealは熱っぽく語ってくれました。

OldNavyPosterツアーの最終地は、その復興を象徴する、現在のハーレムの中心125th Street。ここまで来ると、街はすっかりにぎわいを見せていて、角にはStarbacks Coffee、その少し先にMcDonalds、それらのビルの頭上には大きなGAPの宣伝ボードと、黒人の人が多いことを除けば、普通の街角とかなり近くなって来ています。向かいには、2000年にオープン予定のカジュアル衣料店Old Navyの大きな看板も出ていました。この125th Streetの次に、再開発に着手されているのが出発地点の116th Streetあたりなのだそうです。BlackLeaders
最後に彼が見せてくれたのが、Malcolm Xと、彼とはまた違った方法で黒人たちの権利を主張し、偉大なリーダーだったDr. Martin Luther King Jr.がしっかり握手をしている写真。このふたりは今でも多くの黒人の人々から指示され、永遠のヒーローになっています。125th StreetMartin Luther King Jr. Boulevardという別名がついており、この場所は、ちょうどMalcolm X Boulevardとのふたつの道が交差する地点なのです。ハーレム復興には、彼らのようにリーダーシップを取る人間が必要、そして、自分たち若者が力を合わせてそうならなくてはならないと言って、Neal Shoemakerさんは、ツアーを締めくくりました。ゴスペルに始まって、約3時間以上に渡ったツアー、気がついたらすっかりお腹ペコペコでしたが、興味深い話をたくさん聞くことができて、あまり気になりませんでした。

ゴスペルだけではない、もう少しハーレムのことが知りたいという人には、このHarlem Heritage Toursのウォーキングツアーはおすすめです。20ドルという格安料金も魅力! ただし、英語のみなので、ある程度英語がわかることが前提ですが、英語が母国語ではない観光客も多いので、彼の英語はかなりわかりやすいです。通訳付きで日本人のガイドもやったことがあるとのこと、日本の人にももっとハーレムを知って欲しいと言っていました。ミサのある日曜日には、ツアーがあると思うので、もし、興味のある方は、ディレクターのNeal Shoemakerさん迄、問い合わせてみてください。メールアドレスはloveharlem@aol.com(英語のみ)、電話・FAXは、212-280-7888 です。

c 1997 kyoko_isaka@msn.comよかったら、このページのご意見等をお寄せ下さい。

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