★ Tanglewood Musical Festival Travel Report ★

7月11日(日) 晴れ タングルウッド音楽祭 <Part3>

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NewportSeaView昨日のTanglewoodの余韻もまだなんとなく残ったまま、今朝も元気にSpringfieldのホテルを後にし、Newportへの豪邸見学に出発しました。NewportのあるRhode Island州はMassachusetts州とConneticut州に挟まれ、大西洋に面した小さな州。Bostonに行くときに通ったかもしれませんが、訪れるのはもちろん今回が初めてです。海岸に近づくと、目の前にぱっと青い海とそこに浮かぶたくさんのヨットの白い帆が飛びこんで来ました。いかにも夏らしい、まるで絵のような風景です。Newportは、New Yorkなどがまだまだ未開の田舎町だった1800年代後半、すでに発展した港町で、お金持ちの豪華な家々が次々と立てられていました。今でもやはり高級別荘地として有名。ちなみに、先日亡くなったJ.F.Kennedy Jr.の飛行機が墜落したMartha's Vineyard Island沖は、ここからそんなに遠くないところです。RestaurantTerrace
まずは、港に近いVisitor Informationのあたりでバスを降り、めいめいにお昼をとることになりました。またまた同行の小山はじめさんおススメのシーフードレストランがあるというので、一緒に行きました。The Sea Fare's American Cafeは、なかなか大きくて立派なレストランで、中庭に面したテラス席もありました。ここもBostonのあるMassachusetts州と同じく、New Englandといわれる地域なので、やはり定番のNew England Clam ChowderやLobster Salad Sandwichなどを頼みました。どちらもさすがに定番だけあってはずしてはいませんでしたが、量はやっぱり多かった。特にサンドウィッチはパンがクロワッサンだったので、かなりおいしかったです。(サンドウィッチの写真はこちら)

また一度バスのところまで戻り、お屋敷の立ち並ぶ高台の方にバスで上がって行きます。このあたりの道は一方通行が多く、そろそろ混み合い始めました。やはりこれだけの豪邸が連なっているところもそうないので、Newportを訪れた人々は、皆、必ずそれらを見て回るようです。海岸線とほぼ平行して東西に走るBellvue Avenueという通りは、そのお屋敷に住むご婦人方が、毎日、新調した服で着飾って馬車で行き来し、その服を見せびらかしていた通りなのだそうです。ということは、一度着た服はそれでお役ご免、ハリウッド女優も真っ青の洋服代がかかっていたに違いありません。バブルも足元にも及ばない巨万の富を一部の人々が手にしていた時期だからこそ、そんなことも許されたわけですね。TheBreakers
そんな解説を車中で聞きながら、最初の豪邸The Breakersに到着。好天にも誘われて、これまたかなり立派な門を入ると人々の列が出来ていました。この屋敷は、一代で富を築いたCornelius Vanderbiltの長男、William H. Vanderbiltのそのまた長男、Cornelius Vanderbilt Uの夏の間の別荘として建てられたものです。昨日訪れたHyde Parkのお屋敷は、勘当されてしまった彼の弟Frederickのもので、この後訪れるMarble Houseはそのふたりの間の兄弟、次男のWilliam K.のお屋敷です。ちなみに、William H. Vanderbiltにはもうひとり男の子がいて、そのGeorgeのお屋敷も別のところで保存され、公開されているそうです。
石の壁に自分のイニシャルから作った紋章のようなものや天使などの彫刻を施した外装からしても、ちょっと違うという感じでしたが、中に入ってみると本当にすごいお屋敷でした。中での写真撮影は一切禁止されていたので、残念ながら写真はないのですが、全体的なイメージとしては、ヨーロッパのお城というのがいちばん近いと思います。例えば、入ってすぐにあるダンスホールのような部屋は、まるでベルサイユ宮殿の鏡が張り巡らされている大広間をそのまま小さくしたようなもので、その後、手を入れている分、こちらの方が豪華かもしれません。とにかく、シャンデリアや暖炉など、凝りに凝った装飾が施されており、大理石や金などの使い方もハンパではありません。昨日見たお屋敷に飾ってあった花や植木はよくできた人工のものでしたが、こちらすべて本物。そんなことでも、ちょっと差を感じてしまいました。ViewFromTheBreakers
唯一撮影を許されたパティオからは、真っ青な海が見渡せる素晴らしい眺めが広がっていました。この屋敷の海側には芝生の広がる庭があり、その先がすぐ断崖になっています。The Breakersという屋敷の俗称は、その崖にぶつかってくだける波の様子から来たものです。設計は、当時Vanderbilt家のお抱え建築家だったRichard Morris Huntで、イタリアのルネサンス様式の宮殿をイメージして作りました。部屋数は70室、しかもここに滞在するのは年間6、7週間程度。昨日のお屋敷は40室で春から秋にかけての数ヶ月を滞在するためのものですから、それだけでも違いは歴然です。しかも、それぞれの部屋の調度品を含めた装飾にも、断然お金がかかっているのは、素人目にも明らか。BreakersChildrenHouse
屋敷の見学を終えた後は、庭に別建てになっている子供たち専用の家を見ました。さすがに子供たち用なので天井は低く、こじんまり作ってありますが、中には立派な子供専用のピアノがあったり、小さいだけで同じように凝った装飾の椅子があったり。子供向けのかわいらしいモチーフを使ってはいますが、やっぱりかなり手のかかった本物志向の家という感じでした。自分たちが住むのなら、この家でも十分・・・と、住宅事情の悪いNew Yorkから来た私たちが思ったのは、言うまでもありません。
Bellvue Avenueでの服の見せびらかしに象徴されるように、当時のお金持ちの女性のお金の使い方は相当なもので、また、社交界での女王の座をめぐっての争いもかなり激しいものでした。この屋敷は、Cornerius Uの奥さんのAliceが、義理の妹にあたるWilliam K.の奥さんAlvaMarble Houseを建てたのに対抗して建てたということですが、そのふたりはまさに当時その座を争っていた当事者だったのです。思っていたより待ち時間が長く、予定より遅れてしまった私たちは、急いでその対抗心をあおったというMarble Houseに向かいました。

MarbleHouseもう一度バスに乗って、閉館が5時というMable Houseに4時半になんとか到着。こちらも同じように並んでいる観光客がいたのですが、私たちの団体のすぐ後ろが中国からの旅団(旅遊団だったかな?)で、係りの人がちょっと困惑していました。ここもThe Breakers同様、屋敷内の撮影は禁止。俗称は、もちろんその外装に使っている大理石から来たものですが、これらの大理石は今ではすっかりNew York近郊の住宅地で日本人もたくさん住んでいるTuckahoeから運んで来たものだそうです。近くに寄ってみると、その白くてザラザラした独特の質感が上等のものであることをうかがわせます。この屋敷の建築費が全体で1,100万ドル(単純計算でも13億円、当時の貨幣価値は今の30倍ほどとすると、約400億円!!)で、そのうち700万ドルが大理石にかかった費用なのだそうです。
屋敷内で面白かったのは、The Breakersもそうでしたが、洗面の蛇口が必ず3つあること。そのうち2つはお湯と水なんですが、もうひとつはなんと海水。当時、なぜか海水がお肌によいと考えられていて、社交界で目立つためにはお肌の手入れも欠かせない夫人たちのために、わざわざ海から引いて来ていました。それを信じた結果、きっと肌がボロボロになったと思うのですが、まあ、流行は流行ですからね。確かに、19世紀の頃のNewportに住んでいた金持ちたちが、こぞって水浴び用の服を着て、海水浴をしているというスケッチ画を美術館で見たことがあります。あれも、体と肌によいと信じて、男女を問わずやっていたみたいです。ChineseTeaHouse
このお屋敷を手がけたのもやはりRichard Morris Hunt、そして、設計に大きく関わったのが前出の夫人、Alvaなのだそうです。時代が時代なので、女性、特に上流階級の女性は、働くことなどもちろん許されず、家にいて着飾ったりパーティーを開いたりするくらいしかすることがなかったのですが、このAlvaという人は、とてもエネルギッシュな女性で、今であったらバリバリ働くキャリア追求タイプの女性でした。この屋敷にある、フランス様式に作られた音楽を聴く部屋や書斎などの調度品は、彼女自身がヨーロッパから持ち帰ったものが多数あるそうですし、このChinese Tea Houseという、いかにも中国らしい建物も、離婚後に彼女が建てさせたものです。そうそう、彼女を語る上で重要なのは、上流階級の女性としては、初めて夫の浮気を理由に離婚を申し立て、それを認めさせた女性であるということ。今、アメリカではなんでもないことですけれど、女性の権利などほとんど認められていないこの当時は、かなりセンセーショナルだったんでしょうね。それで、この屋敷を自分のものにしてしまったんですから、たいしたものです。

最後はちょっと駆け足になってしまいましたが、これで、今回の豪邸めぐりも無事終了。見てわかったことは、Gilded Ageの金持ちの規模がいかにすごかったかということです。そして、このクラスの豪邸、特に今日見たふたつくらいのクラスになると、豪邸見学も美術館並みに疲れるということ。なんだかすっかり豪邸疲れ(?)してしまいました。
でも、Vanderbilt一族に関して言えば、これらの屋敷の持ち主の2代後、Cornelius Vanerbiltから4代後くらいで、彼らの名声もぷっつり消えてしまっています。もちろん、今でもVanderbiltを名乗る人々はたくさんいるのでしょうけれど、いわゆる富豪という人はひとりもいないそうです。だからこそ、これらの屋敷も、公共の管理下に置かれているわけで、その辺は今でも財団の残っているRockfellerなどとは違うところですね。これをきっかけに、他にも公開している富豪の家も見てみたくなりました。さしあたっては、New York近郊にあるRockfeller家の屋敷、Kykuitあたりをそのうち訪ねてみようと思っています。
そして、豪邸に圧倒されて、ちょっと記憶の奥に追いやられてしまいましたが、Tanglewoodはだいたい思った通りでした。場所的に、Bostonにも近くはないので、日本から直接だと難しいのかもしれませんが、音楽好きなら、一度行ってみると楽しいと思います。それこそ、Stockbridgeとかに滞在して通ってもよいのでしょうし。
ということで、気軽な1泊2日のバス旅行のわりには、いろいろなところを回ったし、Gilded Ageから始まったアメリカの名家についての話もいろいろ聞いたので、体もさることながら、頭の方もちょっと疲れてしまいました。アメリカに住んでいる以上、やはりアメリカの史実についてある程度知っていると、旅行先でもずっと楽しめるだろうな・・・ということをあらためて感じました。

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