★ Tanglewood Musical Festival Travel Report ★

7月10日(土) (続き) 曇り タングルウッド音楽祭 <Part2>

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StockbridgeTanglewoodの前に立ち寄ったのは、同じBerkshire高原に位置する高級避暑地、Stockbridgeです。観光案内所のところでバスから降りて、パンフレットをもらいましたが、この場所がよく知られるようになったのは、アメリカでは最もポピュラーなイラストレーターだったNorman Rockwellが晩年住んでいたことででした。私たちにはあまりなじみのない名前ですが、庶民の生活をユーモアたっぷりに描いてすごく人気があり、雑誌の表紙や企業のポスターなど様々な作品が残っているそうです。身近なところでは、New YorkのUnited Nationsのギフトショップで売っているTシャツに描かれているイラストが彼の作品とのこと、うーん、今度チェックしてみましょう。NormanRockwellArt
そして、作品の中には、まさにこのStockbridgeを描いた有名な作品もあります。これが今は観光案内のパンフレットにも使われている、1967年に描かれたクリスマスの街並。かなり細長い絵なので一部ですが、上の写真では、絵の右端の2軒の家がそっくりそのまま残っていることがおわかりいただけるでしょうか。彼の住んでいた家というのももちろんそのまま残っていて、それがNorman Rockwell Museumという博物館になっているのですが、残念ながら今は大規模な作品展が全米各都市を回っているために、作品のほとんどが貸し出し中とのこと、今回は見学はしませんでした。
街の説明を聞いた後、ここに立ち寄った最大の目的、夕食を取るために、めいめいレストランを探して街の中に出て行きました。こじんまりしたとても雰囲気のよい街で、軽井沢の中でも人がたくさんいる中軽井沢とかではなくて、ちょっと奥まった旧軽井沢の別荘地という感じ。いくつかのお店をのぞいた後、小さなビストロ風のレストランで軽いディナーをとりました。フレンチ風でしたが、野菜がたくさん入っていたので、比較的あっさりめ。そのせいかお客さんは常連そうな上品なご老人方が多かったです。RedLions
食事の後は、まだ少し時間があったので、軽井沢でいえば万平ホテルのように、別荘客たちが食事をしたりアルコールを飲みに集まってくるThe Red Lion Innといういかにも高原のホテルらしいホテルに行ってみました。まだ日は暮れていませんが、さすが高原地帯だけあって吹く風はかなり涼しく、ホテルの前のテラスではのんびり椅子に座ってワインなどを飲んでいる人たちがたくさんいました。ここもなぜかお年寄りが多かったのは気のせいでしょうか・・・ 裏庭にもオープンエアのレストランがあり、そちらも家族連れなどでにぎわっていました。
確かに、リタイヤして、夏の暑い間はこんな高原の別荘で暮らし、夕方は雰囲気のよいレストランで食事とお酒を楽しむなんていうのも悪くないですね。(もちろん、できればの話ですが。)

TanglewoodEntranceお腹も満たされ、高原の涼しさを肌で感じたところで、いよいよTanglewoodへと乗り込みました。Stockbridgeからはほんとうにすぐで、同じように食事をとってから向かっていた車が何台もありました。
駐車場が驚くほど広いので、バスの停まっている位置をよく確認してから、いざ入口へ。8時半の夜のコンサートの開始時間まであと30分ちょっとくらいだったので、ちょうど入場者が多い時間帯で、車から吐き出された人々が次々に入場して行きました。いかにも森の中を切り開いて作った会場らしく、本当にあたり一面よく伸びた木が立ち茂り、ひんやりした空気が伝わってきます。LawnSheet
会場に入ると、もうすぐそこが芝生になっていて、大勢の人々が敷物を広げ、音楽会というよりピクニック気分でくつろいでいました。今回は、奥に見えるKoussevitsky Music Shedという屋根のある建物の席を取ってあるので、敷物持参ではありませんが、これもなかなか楽しそう。大人から子供まで一族郎党揃って来ている人たちや、何家族かで子連れで来ている人たちなど、やっぱり芝生席はグループが多かったようです。みんな夜に備えて防寒のジャケットやセーター、毛布などを持って来ていました。
そもそもここで音楽祭が開かれるようになったのは、1934年、別荘に避暑に集まる人々の中で音楽好きな人たちが、New York Philharmonicを招聘して演奏会を開催したことが始まりなのだそうです。その後、テントの下で行われる野外音楽祭となり、このころからBoston Symphony Orchestraが演奏するようになりました。さらに、悪天候での中止をきっかけに1959年に屋根付きの音楽堂が建設され、今では、ひと夏3ヶ月弱くらいの公演期間で、30万人以上もの人々が訪れる一大イベントになっています。SeijiOzawaHall
また、音楽祭の期間中、一流の音楽家が指導するTanglewood Music Centerという若手の音楽家育成のための場も設けられています。彼らで結成されるTanglewood Music Center Orchestraというオーケストラは、音楽祭でもプロと一緒に演奏しているそうです。
広大な敷地の中にはいくつかの建物があり、屋根付きの音楽堂には、音楽祭が始まったころの名指揮者S. Koussevitskyの名前が付けられていますが、今年で25年常任指揮者を務める小澤 征爾氏の名前を付けたSeiji Ozawa Hallという建物もあります。1994年に建てられたこのホールは、メイン会場から森の小道を進んで行ったころにあり、期間中はこちらも会場として使われているそうです。見に行ったときは、きっとセンターの生徒さんなのでしょう、若い演奏家が何人かで熱心に練習をしていました。

ShedInsideそろそろ開演時間が近づいてきたので、座席に着くことにしました。シェドの中はこんな風になっています。屋根はありますが壁はないので、外のひんやりした空気がそのまま流れています。芝生の周囲にいくつかあるスタンドやファーストフードなどで飲み物などを飲んでいた人たちも、三々五々集まってきて、いよいよ演奏が始まります。ちなみに、今日の指揮者は小澤 征爾ではなく、Andre Previnという、映画音楽を手がけてアカデミーの音楽賞を受賞し、ジャズピアニストとしても活躍、最近はオペラの作曲も行うという幅広い分野で活躍している音楽家です。今日の演目は、モーツァルトが2曲と最後は今日の指揮者自身が作曲したオペラを組曲にしたもの。あらかじめバスの中でCDを聴かせてもらっていたので、ちょっとは耳になじんでいるはず・・・それでは、それぞれについて簡単に説明します。

Overture to The Marriage of Figaro, K.492」(「フィガロの結婚」序曲) Mozart
有名なオペラ「フィガロの結婚」の序曲です。オペラの始まりを予感させる華やかな感じの曲で、コンサートの始まりにはぴったり。オペラの序曲というのは、作品中の主要な旋律を用いて「いいとこ取り」のように作られているのだそうです。モーツァルトが30歳という、最も脂の乗り切った時期に作曲したので、オペラも後に「3大オペラ」(残りは「ドン・ジョバンニ」「魔笛」)といわれるほどよい出来だったので、そのエッセンスで作った序曲もそれだけでもすぐれた楽曲といえるそうです。盛り上がったまま、さらっと終わるところにもクラシック初心者にはうれしいところ。
Violin Concherto No.3 in G, K.216」(ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調) Mozart
ItzhakPerlmanモーツァルトが5曲作ったヴァイオリン協奏曲のひとつで、前作の2番とともにフランス様式の華やかな旋律の曲。モーツァルトのヴァイオリン協奏曲の中では、4番、5番とともに最もポピュラーで、よく演奏される作品のひとつです。ここで、超有名ヴァイオリニストItzhak Perlman(写真左)が登場し、会場からは盛大な拍手が。恥ずかしながらクラシックに疎い私は全然知らなかったのですが、イスラエル生まれでNew Yorkを拠点に演奏活動を行ってきた氏は、ヴァイオリンといえばこの人といわれるくらいの超一流の演奏家だったのですね。さすがに、軽快なモーツァルトの作品を美しい音で聴かせてくれました。ヴァイオリンの音ってこんなに豊かな音色だったんだと再認識した次第です。
ここで、ちょっと休憩が入りました。私の隣の品のよい初老の紳士は、New Jerseyに住んでいて、かれこれ25年(!!)毎年この音楽祭を聴きに来ているとか。休憩中に俳優のPaul Newmanと奥さんを見たと教えてくれました。小澤 征爾さんが客席のところにいたのを教えてくれたのもこのおじさんです。
Suite from the Opera A Streetcar Named Desire」(組曲「欲望という名の電車」 ) Andre Previn
休憩の後は、いよいよ世界初公開の目玉(?)、指揮者Andre Previn自身の作品です。これはTennessee Williams原作で、映画でもミュージカルでも大ヒットした作品をオペラにしたものから、さらに今回の演奏用に組曲としてさらに編曲したもの。ステージには男女のオペラ歌手が登場し、いくつか入る歌の部分を歌いました。「欲望という名の電車」自体のあらすじは、没落した名家の娘Blancheがお金もなくなり、結婚した妹のStellaをたよってNew Orleansに来たのですが、うまく現実を受け入れられず、さらに義弟のStanleyに乱暴され、最後は精神病院行きになってしまうというなかなか複雑で悲しい物語です。おおまかなあらすじを聞いていたのと、パンフレットに歌のセリフが掲載されていたので、それを追うことで、場面を想像しながら聞くことができました。舞台の場面のよいところをつないだような構成になっているので、メリハリがあるし、現代曲らしい音の響きはまたちょっと趣が違うので、曲の長さのわりには聴いていて楽しい曲だったと思います。もとのオペラ自体は、まだ試験段階のようで、主に西海岸で上演されており、そのあたりで成功すれば、New Yorkにも来るらしいのですが、さてどうなるのでしょう?
演奏は長かったようで、始まってしまうと意外に短く、10時半頃には終了しました。アンコールはなく、シェドも芝生席も、演奏が終わると観客はいっせいに駐車場に向かいます。森の中であたりは真っ暗なので、ぽつんぽつんと立っている街灯の灯りをたよりに出口に向かって歩いて行きました。さすがにこの時間になると、結構冷えました。芝生席で鑑賞するのだったら、ちゃんと虫除けプラス防寒対策をしないとだめですね。
朝、New Yorkを出て、豪邸を見学し、最後は名演奏を楽しむという長い一日が終わり、バスで明日訪れるNewportとの中間に近いSpringfieldというところまで1時間くらいかけて行き、ホテルにチェックインしました。さすがに今日はもう寝るだけ。
明日は、今日見たものがいかに質素な豪邸だったかを知るVanderbiltの違う2軒の超(!)豪邸を見学します。

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