★ Have Fun!! in New York ★

VermeerPosterMetropolitan Museum of Art
Special Exhibition


Vermeer and the Delft School

March 8 − May 27, 2001
The Tisch Galleries, 2nd Floor

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ExhibitionEntrance印象派をはじめ、後世の画家たちに多大な影響を与えつつ、その作品の少なさ世界と謎に包まれた生涯から、近年脚光を浴びているオランダの画家Johannes Vermeer(ヨハネス・フェルメール)。たまたま、ここNew Yorkには、フェルメールの作品が常設で8点(メトロポリタン美術館5点、フリック・コレクション3点)もあることから、渡米して初めて目にして以来、すっかり最も好きな画家のひとりになってしまいました。今回のメトロポリタン美術館での特別展は、フェルメール個人の特別展ではなく、同時期活躍したオランダの画家を含めたいわゆるデルフト派の作品や当時の生活や環境を表す物なども併せた展示となっています。入ってすぐの展示室には、大きなタペストリーや銀器など、17世紀当時のデルフトで作られた芸術品の数々や、デルフトの風景を描いた絵などがあります。次の展示室から、いよいよ絵画が展示されているわけですが、フェルメール以外では、Pieter de Hoochあたりの作品が数も多くて有名。名産でもある、青で精密な絵を焼き付けたタイルや陶器なども印象的ですが、やはりここは本題であるフェルメールの作品だけをご紹介してみます。尚、それぞれのコメントはあくまで個人的な印象だったりしますので、それを念頭にご覧くださいね。

(作品名の後ろの番号は、順路通りに進んだ場合の展示順。下線部をクリックすると出展元の美術館のHPにジャンプします。)
Diana
Diana and Her Companions
(ダイアナとニンフたち) 1
1653-54, Den Haag, Mauritshuis http://www.mauritshuis.nl/
かなり初期の作品で、神話を題材にしたもの。当時は、まだまだ神話とか史実などを主題にした絵が主流だったので、フェルメールでさえこんな絵も描いたんだ・・・というちょっと新鮮な驚きがありました。白い肌にあたる光など、その片鱗は見えていますが、鮮やかな色使いや少しかしこまった硬い雰囲気など、あんまりらしくないといえばらしくない感じがしました。背景の一部が写真と実物で違っているのですが、これは修復をした結果だそうです。どう違っているかはご覧になって確かめてくださいね。



TheProcuress
The Procuress
(取り持ち女) 3
1656 Dresden, Gemaldegalerie Alte Meister -Staatliche Kunstsammlungen
フェルメールらしい庶民の絵の登場。題名を見たとき、英語の意味がさっぱりわかりませんでしたが、娼家で客に対して娼婦を仲介する役割を果たす女性=取り持ち女 ということなのだそうです。ちなみに、この絵の中の「取り持ち女」は左から2番目、ガイコツみたいに不気味に笑っている顔がそうで(これで女なんですね!)、いちばん右のほほが赤い女性が娼婦。暖かそうな柄物の毛布みたいな布はフェルメールの絵によく登場する「定番モノ」です。
TheWineGlass
The Glass of Wine
(紳士とワインを飲む女) 5
1658-59, Berlin, Staatliche Museen
http://tarantula.smb.spk-berlin.de/

今回の展示の中で、個人的にとてもお気に入りの作品のひとつ。人物の顔がよく見えないところや、ワイングラスのほのかな光、光の差し込んでいる窓のステンドグラスの質感がとても見事だからでしょうか。これは、傍らの男がワインを飲ませることで女性を誘惑している場面なのだそうですが、そんななんだかちょっと秘密めいた雰囲気も謎の画家フェルメールにぴったりなのかもしれませんね。



AMaidAsleep
A Maid Asleep
(眠る娘) 4
1656-57 The Metropolitan Museum of Art http://www.metmuseum.org/
メトロポリタン美術館所蔵なのに、他の作品と違う部屋にあるため、気付かない人も多い作品。英語の題名からすると、メイドさんが仕事中に寝てしまった様子・・・かと思いきや、解説本によると、もう少し身分の高い娘が家事をしている途中で眠ってしまったといのこと。またもや登場の絨毯柄の布のかかったテーブルの手前にある白い瓶はワインのデキャンタ。ということは、このお嬢さん、ややアル中の気があるのかも?しれません。右手のドアが開いたままになっていて、奥の部屋が見通せてしまうのが、なんだかちょっと秘密めいた雰囲気(?)を添えています。
TheLittleStreet
The Little Street
(小路) 6
1658-60 Amsterdam, Rijksmuseum http://www.rijksmuseum.nl/
意外性という意味ではいちばんだったのが、こちらの作品。すぐそばに展示してあるホーホの作品の方が人物も大きいし、ずっとそれらしい絵だったので、じっくり見た後、この絵はすっかり無視してしまったのです・・・後から、カタログをチェックして見逃したことに気付き、再度出向いたときに改めて見直した次第。少しいびつさもあるレンガの風合いと空模様がフェルメールの力量を表しているとのことで、確かに見事な表現力です。でも、街の風景をよく表してはいるのでしょうけれど、平凡な風景画?という印象が強く、やっぱりフェルメールは人物画の方がよいと思ってしまったのは、私の素人考え・・・?
The Art of Painting
(絵画芸術) 13
1666-68, Wien, Kunsthistorisches Museum http://www.khm.at/
この特別展の目玉といってもよいのが、ポスターにも使われているこの作品。ウィーンの美術館所蔵で、かなり大きな絵でもあるため、オーストリア以外で見られるのはとっても貴重な機会とか。楽器を持った女性の背景にあるオランダの地図もフェルメール作品によく登場するモチーフのひとつ。この地図を解読することで、描かれた時代や彼自身の史実に対するスタンスなどがわかるというのですから、美術史の研究というのも奥が深いものですね。画家はフェルメール本人のようです。
StandingAtAVirginal
Young Woman Standing at a Virginal
(ヴァージナルの前に立つ女) 14
1670-72 London, The National Gallery
http://www.nationalgallery.org.uk/

ヴァージナルというピアノみたいな形の楽器を弾く女性を描いた晩年の作品のひとつ。この絵を最初に見た瞬間の印象は、女性の体型のバランスの悪さと後ろのキューピッドと比べた顔色の青白さに、「なんでこの女性を描いたんだろう?」でした。他の作品によく登場する、丸い小顔の少女らしいタイプとは明らかに違うタイプ。頼まれて描いたのだろうと想像しているのですが、家にある本にはいずれもそれについては言及されていませんでした。たいしたことではないからでしょうけれど、なんだか気になるんですよね。



SeatedAtAVirginal
Young Woman Seated at a Virginal
(ヴァージナルの前に座る女) 15
1670-72 London, The National Gallery
http://www.nationalgallery.org.uk/

左の絵と同じく、ヴァージナルと女性が主題ですが、こちらは本来(!?)のフェルメールらしい丸顔の童顔タイプ。手前にチェロが置いてあったり、折柄のカーテがかかっていたり、全体的な印象としては、こちらの方がにぎにぎしい感じがしますが、これらの存在によって、直前まで別の人物=逢引の相手?がいたことを暗示しています。そういえば、左の絵よりも少し暗めの背景は、秘密の匂いがしないこともないような・・・

画像ナシですが、上記以外のフェルメール作品は以下の通り。
2Christ in the House of Mary and Martha
(マルタとマリアの家のキリスト)
1655 Edinburgh, National Gallery of Scotland
http://www.natgalscot.ac.uk/
10Girl with a Red Hat
(赤い帽子の女)
1663-67 Washington, National Gallery of Art
http://www.nga.gov/
7Young Woman with a Water Pitcher
(水差しを持つ女)
1662 The Metropolitan Museum of Art
http://www.metmuseum.org/

常設のページでご紹介していますので、ご覧くださいね。
11Woman with a Balance
(天秤を持つ女)
1663-64 Washington, National Gallery of Art
http://www.nga.gov/

ワシントン旅行記でご紹介していますので、ご覧くださいね。
8Study of a Young Woman
(少女の頭部)
1665-67 The Metropolitan Museum of Art
http://www.metmuseum.org/
12Allegory of the Faith
(信仰の寓意)
1670-72 The Metropolitan Museum of Art
http://www.metmuseum.org/
9Woman with a Lute
(リュートを持つ女)
1662-63 The Metropolitan Museum of Art
http://www.metmuseum.org/

今回の展示作品は上記の15点になります。そして、最後にご紹介している「Young Woman Seated at a Virginal」の隣に、リスト以外にカタログにも掲載されていない隠し玉(!?)が展示されています。それは、同じく「Young Woman Seated at a Virginal」というタイトルのついた個人所有の絵で、1670年から75年の間くらいに描かれたと思われる作品。そして、どうもこれがフェルメール作ではないか?というのだそうです。今のところ、この絵をフェルメールの作品として紹介している本などはないらしいのですが、近年、専門家の研究結果ではかなりそれらしいとのこと。真偽のほどはいかがなものなのでしょう?カタログにも掲載されていなかったので、写真がなかったのですが、New York Timesのアート欄で取り上げられたときに写真(モノクロ)が掲載されましたので、一応、その記事の写真を添付しておきます。ご覧になりたい方はこちらをクリックしてください。このところは、現存するフェルメール作品は35点という説が有力ですが、36点という説もあるので、これを加えると最大で37点ということになるのでしょうか?
最後に、展示の出口のところにも簡単な説明がありますが、New Yorkでは、他にThe Frick Collectionに3点のフェルメール作品があります。メトロポリタン美術館と同じ5th Avenueに面した10ブロックほど南にありますので、この機会にぜひ、併せてご覧になることをおすすめします!
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  • すべての画像は大きさの都合上、作品の一部分であり、実物と異なる色合いになっています。
    どうぞぜひ本物をMetropolitan Museum of Artでご覧下さい。
  • 参考文献/ウェブサイト
    Norbert Schneider「全油彩画 フェルメール」 ベネディクト・タッシェン出版
    New York Times http://www.nytimes.com
    Web Gellery of Art http://www.kfki.hu/~arthp/


常設をご紹介したメトロポリタン美術館特集も、ぜひご覧ください。

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