- 「沈まぬ太陽」を読み終えて
去年の大ペストセラー「沈まぬ太陽」全5巻、遅ればせながらようやく読み終えました。著者の山崎豊子さんの本は「大地の子」も読みましたが、どちらも多岐にわたるテーマについての綿密な取材と、それを潔く描ききる確かな筆致には、本当に脱帽というかすごい!と思ってしまいます。それで、この日本航空について描いた小説を読み始めて、すぐに持った感想は「ちょっと怖くて、当分JALには乗れない・・・」でした。お読みになった方も多いと思いますので、内容には触れませんが、日本を最も代表する航空会社の内幕があんなにすごいことになっていたというのは、驚くというかあきれるというか、かなりショックでもありました。とはいえ、JALの良心といわれる方々もたくさんいるわけですから、一概にあの会社の社員は全員悪いというわけではないことも、よくわかりましたが。 さて、それで、読み終わった後、インターネットなどで書評や読後感想をいくつか探して読んでみましたが、全て、主人公の行動も含めて、大変素晴らしいという賛辞ばかりでした。私も小説として素晴らしいということには異論ないのですが、ただ、個人的には、自分の信念を曲げずに、筋を通すため、左遷されても戦い抜いた主人公の行動について、全面的に共感できないような思いが残ってしまったので、読後感は「爽快で感動的」というわけにはいきませんでした。これは、世代や会社などに対する思い入れのようなもの、また自分が家族について海外に来ているために、考える立場が違うからだと思うのですが、それらからすると、彼の取った行動が万人にとってベストではないと思われました。もちろん、筋を通されたことが悪いとか間違っているとは思いませんが、だれもがその道を選ぶべきかというとどうかな?という疑問が残ってしまったのです。それと、良い人はあくまで良く、悪い人はあくまで悪く・・・のような人物像(特に航空会社の社員など)が、ちょっとだけ気になりました。多分、最近、あんなに真摯な内容の小説を読んだことがなく、現代小説だともう少し軽いタッチで人物の多面性が描かれていることが多いから、ちょっと違和感があったのかもしれませんね。 いずれにしろ、大変な力作、大作であることには変わりありませんし、あのような巨大な会社にメスを入れて、真実を暴露したという点も含めて、そうそうない話題作であることは間違いありません。これは単なる個人的な感想ですので、もし、何か感想をお持ちの方がいたら、ぜひ、伝言板の方にでも書き込んでくださいね。 |